PLC技術者から見たキーエンスのすごい所

キーエンスとは?(今更書くまでもないか・・・・)

キーエンスとはPLCや光学機器(カメラ)、顕微鏡を製造開発販売するメーカです。

これだけなら普通の電機メーカですがすごいのは、社員の給与です。

30代で2000万とかもらってます。

よく言われるのがキーエンスに入社すると

30歳で家が立ち、40歳で墓が立つ

と業界では有名な言葉です。設計者目線でいけばあまり気にする必要がありませんが、三菱電機やオムロンなどの各FA機器メーカと経営数字を並べてみたいと思います。2023年1月]時点でググった結果です。調べるサイトも日経新聞やメーカのホームページなので、正確性には期待しないでください

FA機器メーカの時価総額 (2023.1時点)

キーエンス  12.53兆円
日立製作所  6.15兆円
三菱電機   2.79兆円
豊田自動織機 2.41兆円
東芝     1.99兆円
オムロン   1.33兆円
富士電機   7658.93億円
アズビル   4720.57億円
横河電機   5592.76億円
ダイフク   8027.07億円

※ダイフクはFA機器を多用するマテハン業界No1メーカなので記載

※時価総額とは、企業が公表しいる発行済み株式数に、そのときの株価をかけものです。簡単に言うと大きければ大きいほど会社全体の価値が高いと言えます。比較対象として適してないですがマイクロソフトの時価総額は2023年1月で1.68兆ドルなので、円換算すると220兆円ほどです。

一件あたりの金額が大きいインフラ事業などをしていないキーエンスは、基本的に機器売りなのです。それなのにこの数字は驚異的です。今後もFA機器と言ったらキーエンスという時代が続くでしょう。(10年くらい前は三菱電機、オムロン、富士電機でFA機器一式を揃えるという感じでしたが、今はほとんどキーエンスで揃ってしまいます。)

丸

時価総額が大きいほど会社全体の価値が高いとなります。

キーエンス半端ねえ・・・・

安全猫
安全猫

キーエンス 時価総額良し!

丸

・・・・・・・・・

自己資本比率 (2023.1時点)

キーエンス  93.5%(2兆3,240億円)
日立製作所  31.26%(13.88兆円)
三菱電機   58.26%(5.10兆円)
豊田自動織機 51.51%(7.627兆円)
東芝     32.31%(3.735兆円)
オムロン   71.48%(0.93兆円)
富士電機   42.3%(1.17兆円)
アズビル   71.5%(280億円)
横河電機   60.0%(5558億円)
ダイフク   60.16%(4833億円)
()の中は総資本金額

※自己資本比率とは、総資本における自己資本の比率を表します。 自己資本比率は、企業の財務の安全性を分析するために用いられる指標となります。 一般的には自己資本比率が高い方が負債が少ないということになり、財務健全性が高い企業の判断ができます。あくまで2023年1月時に調べた数字なので参考程度にしておいてください。

ちなみに

総資産とは、何にお金を運用したか?

総資本とは、お金をどう調達を表しています。

総資本と総資産は考え方が違うだけで金額は同じです。総資本=総資産です。

キーエンスは、基本的に機器売りの会社です。一案件あたりの金額が大きいインフラ事業などは手がけておりません。その上で、この数字は驚異的です。

10年くらい前は三菱電機、オムロン、富士電機でFA機器一式を揃えるという感じでしたが、今はほとんどキーエンスで揃ってしまいます。今後もFA機器と言ったらキーエンスという時代が続くでしょう。

丸

自己資本比率が高い=財務健全性が高いということになります。

簡単にいうと安心な会社

安全猫
安全猫

自己資本比率良し!

丸

コイツが言うとなんか違うな・・・・

売上高営業利益率 (2023.1時点)

キーエンス  55%(7552億円)
日立製作所  7.19%(10.26兆円)
三菱電機   7.10%(4.476兆円)
豊田自動織機 5.03%(2.215兆円)
東芝     4.76%(3.33兆円)
オムロン   11.7%(7629億円)
富士電機   8.22%(9102億円)
アズビル   11%(2565億円)
横河電機   6.63%(3889億円)
ダイフク   9.81%(5122億円)
()の中は売上高

売上高営業利益率とは、売上高から以下を差し引いた営業利益の売上高に対する割合をいいます。
・売上原価と
・販売費及び
・一般管理費

売上高に対する営業利益の割合を表す指標のことです。簡単に言うと数値が大きいほど本業がうまくいっている(儲かっている)といえます。

丸

55%って100万売ったら55万利益ってこと?

キーエンス半端ねえ・・・・

何気にアズビルとオムロンも半端ねえ・・・・

安全猫
安全猫

売上高営業利益率良し!

丸

見ないで言ってるな・・・・

年収に関してはここでは触れません。福利厚生とか部署間格差とかあるので一概に言えないため。

取りえず書きますが株式会社キーエンスが有価証券報告書で公表している最新の平均年収(給与)は2183万です。ちなみに2022年の年代別の平均年収は「20代」が342万円、「30代」が435万円、「40代」が495万円、「50代以上」が596万円でした。もう倍以上違いますね。

丸

数倍か・・・・・・・・・・・・・

安全猫
安全猫

・・・・・・・

丸

そりゃ絶句するよな・・・・

でここまでがありきたりなキーエンスについて一般的に言われていること。給与面や営業利益率などばかりがもてはやされてますが、PLC使うものの端くれとしてキーエンス製品を使った人間の感想をつらつら書いていきたいと思います。

最初に書きますが

キーエンス製品は凄い 使いやすい 面白い うまいとこつくなあ

これに尽きます。

丸

機器の性能も良いのもそうですが、機器単体のパラメータ設定がユーザーフレンドリーなものが多いです。それこそ使いやすいものが多いです。

物流センターの仕分け機器の制御設計をしていましたが、バーコードリーダがレーザー式からカメラになったとこは衝撃でした。このSR5000シリーズの設定も簡単で性能もメチャクチャ良かったです。

フィルムの干渉を避けられてなおかつ、高速物流仕分けができるカメラがある事自体信じられませんでした。開発ツールに関しての宣伝はあまりしないのですが、設定がかなり簡単でした。伝聞フォーマットは作成してもらいましたが、フォーカス合わせなどは慣れたら簡単にできました。

レーザー系のバーコードリーダで苦労していたのは何だったんだ・・・・・

自動制御はコロナの影響も相まってますます需要が増えるでしょう。PLCだけではなくセンサにカメラにDC電源機器なども幅広く手がけています。

FA機器と言ったら三菱電機かオムロンと言われた時代もありましたが、あと何度もキーエンスは天下を取るでしょう。PLCといったら三菱電機ではなくキーエンスという時代が来るかも?

キーエンスと言ったら営業力

キーエンスというと給料と利益率ばかりが取り沙汰されますが、一番の強みは営業力ではないでしょうか。調べたい機器とかの資料をキーエンスのホームページからダウンロードすると、一両日中に電話が来ます。

安全猫
安全猫

先輩

なんかカタログをダウンロードしたんです。

そしたらすぐに知らない人から電話が来ました。

丸

キーエンスの誰々さんだな・・・・・

各地区の担当者がいてカタログをダウンロードしたら、かなりの確率で製品紹介の電話が来ます。制御設計を仕事にしている人間は必ずこの事象に会います。

ただこれのおかげで実機のデモをいつでも間近に見れるのでありがたいのです。冗談抜きでガンダム08小隊ばりのバックパックを持ってきます。商品紹介に来た際は是非AC100V電源を貸してあげてください。多分営業所では陸戦ガンダムの如きキーエンスマンが背中にバックパック背負って出動するのでしょう。

丸

陸戦型ジム作りたくなってきたな・・・・

実は高性能な陸戦型ジム

キーエンスのPLC

職場では三菱電機か富士電機のPLCを使ってますが、キーエンスのPLCを使っている人間が何人かいます。感覚的にはオムロンと三菱の間ぐらいという感じです。ただ開発ツールが若干重い。同僚はいつも上書きボタンを押しながら開発していました。

キーエンスのPLCの特徴というとやはり処理速度でしょうか。設備の監視システムなどはあまり処理速度は求められなかったり、大規模な装置は実績ありきで作ることが多いのです。そのため過去の実績豊富な三菱電機やオムロンのPLCで設計することが多いのですが、初物(新規開発)やCPUの処理速度が求められるものに使われていました。

丸

大きな生産設備工場にぽつんとあるイメージ。

海外ではキーエンスの営業マンが凄い親切で、キーエンスのPLCや機器を積極的に採用していたそうです。海外でもキーエンスの営業力は健在のようです。

私も使ってみたかったのですが、今の所縁がない状態でいます。画像処理などを行う人たちはよく使っているイメージがあります。ガッツリ使ってみたいんですけど・・・・・

丸

触って使ってみたいんですけどね・・・・

機会さえあればキーエンスのPLCを使ってみたかったのですが、私に場合は別設備との信号取り合いをCC-LINKで構成しているため採用はしませんでした。(CC-LINK通信で構築しているシステム)

CC-LINKはオープンフィールドネットワークなのでつなげることはできるのですが、システムの良否を最終的に判断するのは利便性のため、PLCの機種を増やすのは積極的にはしませんでした。

CC-LINK?オープンフィールドネットワーク?という方は以下の動画をどうぞ。今はなきUSB.NETを扱っていてくれていたり、好きなyoutubeチャンネルです。

後発メーカーでも勝てる理由

顧客の潜在ニーズを具現化してコストダウンに協力できる機器を沢山作っているキーエンスですが、基本的に後発メーカです。PLCもそうですが、基本は三菱にオムロンに横河が代表的なメーカーで、キーエンスのPLCをよく見るようになったのはここ最近のような気がします。

キーエンスは後発メーカーである故のスタンスなのか、基本的に「新規参入して乗っ取る」という側面があります。すいません言い方が悪かったです。言い換えると「潜在的な需要を正確に捉え商品化する力」がどの企業よりも長けていると言えます。

キーエンスの方から聞いたことがあるのですが、顧客から「サンプル測定に暗室を使う必要があるので面倒」という相談を受けていたそうです。そこで考えたのが「暗室で使うのではなく作ってしまえ」で外光を遮断できる筐体付きの蛍光顕微鏡のを作っていました。

後発だからできるというより、先程も書いた顧客の声から「潜在的な需要を正確に捉え商品化する力」がどこよりも優れています。これが普通の老舗の歴史のあるメーカーだと、ずっと作り方を変えないというのがほとんどです。

私もメーカーに勤めている人間の端くれですが、20年以上下手をすれば30年以上作り方が変わっていないという商品がザラにあります。これはその商品が優れているから売れているという側面がありますが、それよりも「今までと同じにすれば失敗はしない」という意識やスタンスがあります。売る側も買う側もこの意識がどこかにあるため、従来の不便さも受け入れて使っているというケースが多いです。

この昔から受け入れている、受け入れざる得ない「不便」を営業マンが吸い上げ形にするというのが、キーエンスの本来の強みかと考えています。どうしても給与や売上や利益に目が行きがちですが、他社と比べて格段に違うのがこの「潜在的な需要を正確に捉え商品化する力」が段違いです。

私の経験を一つ紹介すると、バーコードリーダーのリプレイス案件がありました。その設備では、化石のようなバーコード体系を使っており、使用できるメーカーが限られてしまいます。更に運悪くレーザータイプでは読み取りが難しいものが読み取り対象でした。

そこに出てきたのがSR5000です。バーコードの規格がマイナーすぎる場合は読めないメーカーがあったりするのですが、キーエンスの場合は「乗っ取る」「新規参入する」が根底にあるため古い規格もカバーしていたのです。

カメラタイプだから処理が追いつくか不安でしたが、そんなことはまったくありませんでした。普通に読み取りと伝送を遅延なくPLCに送信できていました。(読み取り率も良かった)物流用途でカメラ式バーコードリーダーを採用できる時代が来たと内心衝撃を受けていました。

丸知
丸知

マテリアルハンドリング関係の技術者として仕分け装置にカメラ式バーコードリーダーが使えたのは衝撃でした。

SR5000使っているときも「使いやす!」って思いました。風土的に直感的なインターフェースを心がけているのでしょうか?キーエンス製品は扱いやすさをとにかく追求しているイメージがあります。

キーエンスの強みって以下2つだと思うのです。(営業力は今更なので除外)

・直感的なインターフェースを開発してしまう

・潜在的な需要を正確に捉え商品化する

以上とりとめのない文章で終わってしまいますが

10年以上PLCを使ってきた人間が感じた、キーエンスのすごい所

でした。

PLC触る技術者はどこかでキーエンスのお世話になるかとおもいます。キーエンス製品触らなくてもキーエンスのホームページに教科書レベルに詳しい資料が沢山あります。(営業マンの営業込みですが)何か技術的なことで躓いた時に、是非キーエンスのホームページを参考に資料をダウンロードして勉強してみてください。解決の一手が見つかるかもしれません。

それではご安全に。

コメント

  1. M より:

    40代フリーランスの制御屋です。
    キーエンスの手先ではないですが、最近はどっぷりです。

    営業の電話がみんな嫌だと言いますが、
    分からない事があった時とかのレスポンスが、とても良いので
    私は気にいってます。

    営業さんと仲良くなって仕事も紹介してもらいましたよ。

    • 丸圭穂 より:

      確かにレスポンスはすごく良いです。
      生産技術さんはキーエンスのおかげで、ライン止めずに助かったとかよく聞きます。
      新開発の目の付け所とか操作性が良いものが多く、使いやすいです。
      キーエンスの勢いはまだまだ続きそうですね。