電気CADの導入の仕方
電気CADの導入を失敗した話と、成功した話をしたいと思います。
私が元々いた部署ではずっと無印のAutoCADを使っていました。そんな中で改善活動の一環で電気CADの導入の検討を命じられました。電気CADとは図面間の情報をリンクさせて、リレーとコイルの参照先を自動で追記してくれる機能のあるCADです。国内では図研E3がメジャーどころかと思います。
色々各社個性はありますができることは概ね同じです。
導入しろって指示されたときは図面管理システムに深く関わってくる話なので、無理だろって思ってました。(実際元いた事業部では無理でした)言わんこっちゃない。
国内ではまだまだベタ書きするような設計をしている制御設計者が多いと思います。結果としては元いた部署では導入失敗しました。その後に異動という形でほとんど別会社と言っても差し支えない部署に行きました。そこで電気CADの導入と運用がうまく行ったので少しココらへんのこと書きたいと思います。
ほぼアラフォーのおっさんの愚痴です。
寝転びながら見ていただけたらと思います。
結論から言うと
うまくいくかどうかは業態次第でした。昔に所属していた部署では、どうやって工夫しても運用不可能でしたが、異動先ではすんなり運用できちゃいました。それも機能を有効に使ってるとかではなく限られた機能しか使ってなくても運用できていました。特にすごい頑張ったとかではありませんでした。
これから導入検討する方、検討させられる方の参考になれば幸いです。先に言っておきますがその部署や会社の業態次第で使えるかどうかほぼほぼ決まります。どう頑張っても乗り越えられない環境がありますので、もし導入の検討を命じられて無理だと思ったらさっさと導入検討から撤退してください。時間の無駄です。
業態さえ合えばすんなり使えます。
工夫もいりません。
読んでいただいている方の能力を軽く見ているわけではありません。おそらく改善活動の声がかかる方ですから、相当の実績があると思います。経験も豊富でしょう。しかしどんな強いサメでも陸を歩けません。地上に出たら猫の餌になるでしょう。空中で無敵をほこる鷹も海の中を泳げません。小魚の餌になって終わりでしょう。
あなたがどんなに優秀でも仕組み上できないものはできません。読んでいただいている方の貴重な仕事の時間を、導入不可能な設計ツール運用の検討させたくないためにこの記事書きました。
逆に少しでもいけるかなと思ったら周りを巻き込みつつうまくやってください。最初に導入失敗した経緯と次に電気CAD運用にうまくいった経緯を記載します。
電気CAD導入できない業態のところは何をどう頑張っても無理です。諦めてください。
まず最初に失敗した大まかな経緯を書いていきたいと思います。これから導入検討される方で、職場の図面管理方法が近いと感じた方は諦めたほうがいいかもしれません。それでは失敗の経緯と前の職場の図面管理方法と業態を、差し支えない範囲にして書いていきます。半分愚痴混じりですがご了承ください。
くどいですが何度も書きます。
無理な場合は何をやっても無理です。
諦めてください。
退くのも強さです。
元の始まりは改善活動の一環
電気CAD導入の検討の始まりは改善活動の一環でした。電気図面の設計工数を下げたいという目標ではじめました。この時には電気CADってなんですか?という感じでググったりして調べてみました。どのCADが出てきたかは割愛します。まあ国内で使えるものは全部調べました。結局無駄になりましたが。
改善活動はどんな会社でもやらされることになると思います。(というかしないと賞与に響いてくる)私は改善活動は極力したくないのですが、サラリーマンなんで仕方なくやってます。
別に自分の評価アップになるわけでもないし。
改善活動って全体的に見ると、その部署の独りよがりって結構多いです。
これから会社に入る方たちはそのうち改善活動どころではないくらい忙しくなって来ると思うのですが、体を壊さない程度に頑張ってください。
改善活動はうまくいったかどうかの定義が曖昧になりがちになってきます。どうせそのうち、うまく発表するのが目的になってしまいます。
一年経つと改善活動の内容なんて影も形も亡くなったりしてます。
PDCAを何度も繰り返して活動の質を高めていくなんてのは、自分一人でコントロールできません。トヨタができてるとか言う人もいますがトヨタはものすごい高い給料もらってるからできることです。
愚痴はこの辺にして制御CAD導入できなかった理由書いていきたいと思います。
電気CADが導入できなかったかは理由 図面管理システム
どんな設計会社も図面を管理するルールや仕組みなどがあるかと思います。当時いた部署はガチガチにデータ管理をしており、書いた図面は一枚一枚データで図面管理システムに保存して会社の人間全員が見れるようにしていました。書いた図面は承認されるとDWG形式で保存するようにシステムを作っており、DWGのみでしか運用できない(それも一枚一枚づつ)仕組みになっていました。
一見するとデータなので誰でも図面見れるしいつでも最新の図面を劣化せずに見れると思っていたのですがこれが仇になって違う作図ツールの導入を阻んでいました。(DWGデータ自体は拡張性が高いので世界中で使用されている素晴らしい形式です。)これをどうにかしようとあれこれ皆で考えていましたがそもそもシステムの改造しなきゃいけないし、外に設計してもらうときのライセンス問題とかで余計制約が多くなって使えたものではありませんでした。
導入できなかった原因はプロジェクト管理システムにありました。
プロジェクト管理システムの改造なんて、1社員の権限では不可能です。
だから何をどう頑張っても無理でした。
電気CADを使って工数削減しようという目的からだんだん外れて、どれ(どの電気CAD)を使うかなどにシフトしていってしまうなど当時は凄まじい迷走ぶりでした。
どのCAD選ぶかという醜い争いになりました。
もう愚痴しか出ない。
どう使いたいか?何をしたいのか?を決めようと何度言っても、眼の前にあるいろんなツールに惑わされっぱなしでした。(営業に来る会社に惑わされ)とりあえず無難な電気CADのライセンス一つ買ってあれこれ使ってましたが、試用期間中に何もメリット見出せずに気づいたら予算降りずに凍結されました。
多少工数削減できたとしても作図にかける工数が元いた部署は全体の20%ほどだったので、結局全体に占める工数削減の割合はそもそも低かったというのもあります。
皆さんもプロジェクト管理システムとの相性の悪さ(大幅改造必要)と、外注設計用に高額なライセンス用意できないなどそういった管理面を確認してください。障害になった場合早いところ導入の検討から撤退してください。時間の無駄です。
真っ先にプロジェクト管理システムとの相性を調べてください。
相性が悪い場合はとっとと引いてください。
時間の無駄です。
別会社レベルの部署に異動後に意外とすんなり使えた
その数年後に業務応援という形で別会社レベルの部署に異動しました。そこでもまた電気CAD使いましょうという話があり、「またかよ・・・・」ぐらいな感じだったのですがそこでは意外とうまく使えてしまいました。
びっくりするぐら電気CADが導入できました。
というのもそこの部署は図面データ自体の管理は共有のサーバに保管しており、案件関連で出図するときはPDFで社内システムに登録する形をとっていました。これの場合自分の部署で好きなツールを使ってPDF形式にすればよいだけだったので、特に現状のシステムに干渉することはなく設計ができていたからです。配属された瞬間にこれは特に問題なくいくだろうなと、なんとなく感じました。
更にこれが大きかったの盤設計自体は専門の部署が行い、私の部署な電気回路の設計のみ行えばいい業態をとっていました。ですので電気CAD使っていますが、盤設計の機能は全く使っておらずなんなら端子配列も書いておりません。
盤設計しない部署に来たときは少し罪悪感を感じました。
回路設計するのに盤設計しないの?というのが衝撃でした。
電気CADの機能を回路設計オンリーで使っています。元いた部署では機能をフルに使うことばかり念頭においていました。使うからにはすべての機能を使うのだという固定観念があったのですが、この程度の使い方でいいのかと驚いたものです。
今では事務所で回路設計とPLCのソフト設計のやっています。図面管理方法が図面データ(DWG形式など)で独自のシステムに保管管理運用していないのであれば結構簡単にいくと思います。
それに機能すべてをうまく活用しようと欲張らないのも大事な気がします。「使うからには!」というふうに気を貼らずに部分的に使っていってうまく言ってきたら広げていくようなイメージがいいような気がします。
今の部署ではすべての機能は使ってません。
端子配列を作れる機能は全く使ってないです。
使う予定もありません。
当初はこれでいいの????って感じでした。
いずれにせよ社内のシステムに干渉せずに、プロジェクトを進められるような業態が必須です。これがクリアできないと導入は難しいです。元いた部署はDWGでなければプロジェクト進行は不可、というくらいガッチリシステム組んでいました。どの電気CAD選ぼうがどのみち不可能だったのです。
これから改善活動の一環などで制御CADの導入検討する方は機能面ではなく、自分の部署の図面管理システムを把握してください。だいたいそこで導入の可否が最初から決まっています。
まとめ
ということで電気CADの導入を失敗した話と、成功した話でした。とりとめなく書きましたが問題にならないレベルでありのまま書きました。
何度も書きますが電気CAD運用できるかはそこの職場の業態(図面管理のシステムとプロジェクトの進行方向 例出図にDWGデータ必須など)で最初から決まっています。
ガチガチにDWGデータを使って運用するようなシステム組んでるところは諦めてください。時間とお金の無駄です。逆に出図形式がPDFなどで開発ツールとデータ形式問わない場合は一気に敷居が下がります。(というか下がりました)まず最初に職場の図面管理と出図のシステム把握してください。
会社に入りたての頃に「できない理由ではなくできる方法を探せ」と言われるかもしれませんが、そもそも不可能なものは不可能なのです。最初にも書いたように、どんな強いサメでも陸を歩けません。地上に出たら猫の餌になるでしょう。空中で無敵をほこる鷹も海の中を泳げません。小魚の餌になって終わりでしょう。年を取るとわかりますが大体の人は課題解決よりも、課題をかわしてあれこれを我が実績のようにしていることがほとんどです。無理なものは無理とさっさと違うことに時間を使いましょう。
できない理由ではなくできる方法を探せ
あれは嘘です。幻です。
都合の良い詭弁です。
あなた自身の貴重な時間は有限です。最初の数年間の伸びしろをできなかった実績にする必要はありません。限りある時間を有効に使ってください。ほとんどおっさんの愚痴と説教になりましたが、この記事が改善活動と電気CAD導入の参考になれば幸いです。
それではご安全に。
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