電験2種 令和3年 法規 問7 電力系統に関する問題

電験2種 令和3年 法規 問7 電力系統に関する問題

次の文章は,電力系統と構成に関する記述である。文中の ( )に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

 a) 送電線路の相互連系を容易にすることや,機器の規格化などを考慮し,送電電圧は数種類の標準電圧に統一されている。

我が国の標準電圧は電気学会・電気規格調査会 (JEC) で定められており, (1) と最高電圧の 2 2 種類がある。例えば,(1) が 66 kVの場合は,最高電圧は 69 kV となっている。なお,送電線路の電圧としてこの標準電圧を採用する場合、(1) が電気設備技術基準の「使用電圧」となる。

 b) 交流送電線の送電容量は,電線の許容最高温度に対する許容電流だけでは決まらず,こう長が長いと送電容量が小さくなる。送電線のこう長が長くなると(2) から送電容量が制限されるためである。 

c) 架空送電線路の電力損失の主なものに,抵抗損と (3)がある。 (3) は,送電線に高電圧を加えたとき,周囲の空気に対する電線表面の電位の傾きがある程度以上になると発生する局部放電によるものである。

 d) 架空送電線の事故は、(4) が多く,設備の損壊を伴う永久事故は少ない。このため線路の両端を開いて短時間無電圧の状態におき,その後再び両端を閉路すれば元通り送電できることが多い。このことを利用して自動再閉路方式が多く採用されている。 

e) 配電方式のうち,都市部などで採用されることがあるものに,次の方式がある。 複数の 22 kV 配電線から分岐線を T分岐で引き込み,それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続し,各低圧二次側はネットワークプロテクタを経て並列に接続してネットワーク母線を構成する。本方式では,低圧側は同一ビル内の母線に限定される。 この方式は、(5) と呼ばれている。

解答群

解答

(1)ヌ_公称電圧

(2)ヨ_安定度

(3)ハ_コロナ損

(4)カ_雷によるアーク事故

(5)チ_スポットネットワーク方式

(1)は電気設備の技術基準の解釈第1条より

(1)は電気設備の技術基準の解釈第1条より記載あります。該当部分抜粋します。

【用語の定義】(省令第1条)
第1条 この解釈において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号による。
・・使用電圧(公称電圧) 電路を代表する線間電圧
・・最大使用電圧 次のいずれかの方法により求めた、通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧
・・使用電圧が、電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-0222-2009「標準電圧」の「3.1 公称電圧が1,000Vを超える電線路の公称電圧及び最高電圧」又は「3.2 公称電圧が1,000V以下の電線路の公称電圧」に規定される公称電圧に等しい電路においては、使用電圧に、1-1表に規定する係数を乗じた電圧

電気設備の技術基準の解釈

よって解答は(1)ヌ_公称電圧となります。

a) 送電線路の相互連系を容易にすることや,機器の規格化などを考慮し,送電電圧は数種類の標準電圧に統一されている。

我が国の標準電圧は電気学会・電気規格調査会 (JEC) で定められており, 公称電圧と最高電圧の 2 種類がある。例えば,公称電圧が 66 kVの場合は,最高電圧は 69 kV となっている。なお,送電線路の電圧としてこの標準電圧を採用する場合、公称電圧 が電気設備技術基準の「使用電圧」となる。

(2)は安定度に関する問題

電力系統の負荷変化及び故障等による異常でも発電機電圧が一定の相差角を保ち、同期回転を維持できる度合いを安定度と呼ぶ。安定度は以下2種類に分類される

定態安定度・・発電機の負荷を徐々に上げていってどの範囲まで安定して運転できるかの度合い
過渡安定度・・急激な負荷変化や線路の開閉、短絡故障などにより過度状態が生じ、過度状態の経過後に安定な運転が継続できる度合い

安定度を大きくするには①制動巻線を設ける②短絡比を大きくするなどの方法がある

(2)の解答はヨ_安定度となる

b) 交流送電線の送電容量は,電線の許容最高温度に対する許容電流だけでは決まらず,こう長が長いと送電容量が小さくなる。送電線のこう長が長くなると安定度から送電容量が制限されるためである。

 (3)コロナ損

電線の表面から外に向かっての電位の傾きは電線の表面で最大となる。そして表面から離れるに従って減少していく。その値がある電圧以上になると空気の絶縁が失われてイオン化する。これをコロナ放電といいジジジジという異音が発生する。このコロナ放電が発生するとコロナ損を生じる。

(3)の解答はハ_コロナ損

c) 架空送電線路の電力損失の主なものに,抵抗損とコロナ損がある。 コロナ損は,送電線に高電圧を加えたとき,周囲の空気に対する電線表面の電位の傾きがある程度以上になると発生する局部放電によるものである。

(4)架空送電線の事故は、雷によるアーク事故 が多い

架空送電線の事故は、雷によるアーク事故 が多い。

それは架空送電線の鉄塔は付近の建築物や樹木に比べて格段に高く、送電系統に点在する変電所よりも圧倒的に下図が多いためである。そのため雷害、塩害などを受けやすい

事故件数は発変電設備や地中送電線に比べて多い。

(4)の解答はカ_雷によるアーク事故

d) 架空送電線の事故は、雷によるアーク事故が多く,設備の損壊を伴う永久事故は少ない。このため線路の両端を開いて短時間無電圧の状態におき,その後再び両端を閉路すれば元通り送電できることが多い。このことを利用して自動再閉路方式が多く採用されている。 

(5)スポットネットワーク方式とは?

(5)はスポットネットワーク方式の説明となります。この方式は大工場と高層ビルなど1箇所ごとに集中して点在する負荷に供給する方式である。

(5)の解答はチ_スポットネットワーク方式

e) 配電方式のうち,都市部などで採用されることがあるものに,次の方式がある。 複数の 22 kV 配電線から分岐線を T分岐で引き込み,それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続し,各低圧二次側はネットワークプロテクタを経て並列に接続してネットワーク母線を構成する。本方式では,低圧側は同一ビル内の母線に限定される。 この方式は、スポットネットワーク方式と呼ばれている。

問題文に解答を記載

a) 送電線路の相互連系を容易にすることや,機器の規格化などを考慮し,送電電圧は数種類の標準電圧に統一されている。

我が国の標準電圧は電気学会・電気規格調査会 (JEC) で定められており, 公称電圧と最高電圧の 2 種類がある。例えば,公称電圧が 66 kVの場合は,最高電圧は 69 kV となっている。なお,送電線路の電圧としてこの標準電圧を採用する場合、公称電圧 が電気設備技術基準の「使用電圧」となる。

b) 交流送電線の送電容量は,電線の許容最高温度に対する許容電流だけでは決まらず,こう長が長いと送電容量が小さくなる。送電線のこう長が長くなると安定度から送電容量が制限されるためである。

c) 架空送電線路の電力損失の主なものに,抵抗損とコロナ損がある。 コロナ損は,送電線に高電圧を加えたとき,周囲の空気に対する電線表面の電位の傾きがある程度以上になると発生する局部放電によるものである。

d) 架空送電線の事故は、雷によるアーク事故が多く,設備の損壊を伴う永久事故は少ない。このため線路の両端を開いて短時間無電圧の状態におき,その後再び両端を閉路すれば元通り送電できることが多い。このことを利用して自動再閉路方式が多く採用されている。

e) 配電方式のうち,都市部などで採用されることがあるものに,次の方式がある。 複数の 22 kV 配電線から分岐線を T分岐で引き込み,それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続し,各低圧二次側はネットワークプロテクタを経て並列に接続してネットワーク母線を構成する。本方式では,低圧側は同一ビル内の母線に限定される。 この方式は、スポットネットワーク方式と呼ばれている。

過去問を解いた感想

設問一つ一つは3種と大差ない内容でした。電験3種で法規と電力の基礎ができていれば、解ける問題です。

それではご安全に。

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