出張先ホテルの夜と一平ちゃん — 小さな自由とささやかな罪悪感のはざまで
出張が続くと、どうしても食事が単調になる。
外食も飽きるし、コンビニ飯も続くと「またこれか」となる。そんな夜、ふとホテルの棚に置いたカップ焼そばの存在に気づく。明星の「一平ちゃん夜店の焼そば」。
気づけば、出張カバンの中に常備してしまっている定番だ。
お湯を捨てられる幸せ
当たり前の話だが、ホテルの部屋にある電気ケトルでお湯を沸かし、カップに注ぎ、3分待って、湯切りをする。
これだけのことなのに、なぜか小さな満足感がある。
インスタントラーメンと違って「お湯を捨てる」動作があるのは、地味にありがたい。汁が残らない分、ニオイも控えめだし、後片付けも楽。
シンクにそのまま流せるのも、ビジネスホテル暮らしの身にはちょっとした“自由”の象徴のように思える。
自炊ではないけれど、ほんの少し「料理をした気分」になるのも悪くない。
ソースの量=塩分コントロール? 罪悪感の緩和策
焼そばのソースをかける瞬間が、一平ちゃんの一番の見せ場だ。
あの甘辛い香りが立ちのぼる瞬間、たいていの疲れは吹き飛ぶ。
だが、ふと気づく。
——このソース、全部かける必要あるのか?
年齢とともに、塩分が気になる。
血圧も、健康診断の数値も、どこかで意識してしまう。
そこで、ソースを“七分がけ”にしてみる。
味は少し薄くなるが、実はこれがちょうどいい。
マヨネーズとふりかけの風味がカバーしてくれるので、満足度はそこまで下がらない。
そして「ソースを減らした=塩分も減った」という事実が、心の中の罪悪感をやわらげる。
もちろん、現実的に大きな健康効果があるかといえば微妙だ。
栄養士目線で見れば“焼そばは焼そば”だろう。
だが、出張先の夜に「ちょっとは気をつけてる」という感覚を持てるだけで、心が軽くなる。
罪悪感をコントロールするのも、健康の一部かもしれない。
安い・どこでも買える安心感
一平ちゃんのいいところは、なんといっても「どこでも買える」ことだ。
出張先のコンビニでもスーパーでも、たいてい棚にある。
しかも、安い。
200円を切ることも多く、他のカップ麺に比べても手が出しやすい。
もし売り切れていても、ペヤングやU.F.O.といった“同盟国”が必ずいる。
どれを選んでも、大きなハズレがない。
こういう「安心のラインナップ」が、日本の出張族を支えている気がする。
ホテルの部屋で食べてもいいし、次の移動の朝に持ち越してもいい。
お湯さえ確保できれば、どこでも完結する万能さ。
こういう“汎用性”の高さが、外食にも飽きた出張サイクルの中では、ありがたい存在だ。
お土産としての一平ちゃん — 意外と喜ばれる理由
意外なことに、一平ちゃんは「お土産」としても悪くない。
正直、出張のお土産ネタは尽きる。
最初の頃は地元のお菓子や銘菓を買っていたが、何度も同じ場所に通っていると、「またそれ?」となる。
そんな時、スーパーで見つけた地域限定のカップ焼そばを持ち帰ると、子供も妻も案外うれしそうにする。
おやつ代わりに半分ずつ食べたり、週末の昼に作って「これ出張先で食べたやつだよ」と話すと、ちょっとした会話になる。
インスタント食品なのに、なぜか“旅の名残り”がある。
駅弁のように華やかではないが、実際の旅のリアルを感じるお土産だ。
「お父さん、こんなの食べてるんだ」と、家族が少しだけ自分の出張生活を想像してくれる。
それがうれしい。
コンビニで買うなら、ちょい足し野菜を
一平ちゃんを買うとき、もしコンビニで済ませるなら、ぜひ「ちょい足し野菜」を一緒に買うのがおすすめだ。
カップ焼そば単体だとどうしても茶色一色になるが、サラダやカット野菜を足すだけで、罪悪感がまた一段減る。
冷蔵の小鉢サラダや、電子レンジで温められる「野菜炒めパック」でもいい。
味が濃い焼そばには、さっぱりした野菜がよく合う。
しかも、箸休めにもなって食べ飽きない。
ホテルの冷蔵庫に残ったドリンクとも相性がいい。
それに、食後に「なんとなく健康的なことをした気分」になれるのが大きい。
それだけで、次の日の朝の目覚めが少し違う。
出張先の夜に感じる“小さな満足”
ホテルのデスクに一平ちゃん、コンビニのプラスチック箸、そして缶の緑茶。
照明を少し落として、窓の外の街明かりを眺めながら一口すする。
この瞬間、妙に落ち着く。
誰にも気をつかわず、自分のペースで、食べたいだけ食べられる。
それだけで十分に贅沢だ。
出張というのは、仕事をしながら少しだけ“自分に戻る時間”でもある。
豪華な食事ではなく、こういう手軽な一平ちゃんの夜にこそ、自分の「日常」が見える気がする。
明日もまた現場だ。
でも今は、ソースの香りに包まれて、静かな時間を味わいたい。
終わりに — 焼そば一杯で思うこと
結局のところ、一平ちゃんは「便利でうまい」だけではなく、“ちょうどいい距離感”を持っている。
健康志向にも、節約にも、家族とのつながりにも、少しずつ寄り添ってくれる存在だ。
お湯を捨てて、ソースを加減して、少しの野菜を添えて食べる。
そのひと手間に、日常のバランス感覚がある。
派手さはないけれど、確実に自分を整えてくれる時間。
そんな出張先の夜に、一平ちゃんはちょうどいい。



コメント