10年以上PLCを使ってきた人間が感じた、PLC技術者であるデメリット
前の記事で「10年以上PLCを使ってきた人間が感じた、PLCが使えるというメリット」とか書いておきながら、PLC技術者であるデメリットも書いていきたいと思います。
まあ愚痴っぽくなりますが、実体験なのでこれから起こりうることくらいに考えてください。
デメリットと言ってもPLCを使うシステムや業界によって、技術者としての将来性は千差万別になってきます。当人にとってデメリットと感じるか、メリットになるのかも変わってきますのであくまで参考程度として捉えてください。それではつらつら書いていきます。
アラフォーのおっさんの愚痴なんで、話半分に読んでいってください。
面倒くさい人や疑り深い人が多い
これは偏見かもしれませんが、PLCを使う技術者は面倒くさい人がメチャクチャ多いです。なんでこんな面倒くさい人が多いのか不思議ですが、偏屈で天の邪鬼で疑り深い人が本当に多いです。自分がいた所がたまたまそういう所なのかはわかりません。でも本当に多かったです。
ああ言えばこう言う。こう言えばああいう。とりあえず図面にケチをつける人や、PLCのコメントや内部アドレスの割り振りにうるさい人とか、たくさんいました。
おい丸!なんでM100から振り始めた!
これじゃ使いにくいだろ!
アドレスマップ作ってないお前が悪いんだろ・・・・・
これは一箇所のミスが設備を致命的に壊したり、止めたりする可能性があるためかなと個人的に思っています。たとえば一つのアドレスの打ち間違いがあるだけで、簡単にライン一つ止まります。ライン1つ止まる=その会社の操業に致命的な影響を与えるということになります。生産ラインを止める場合は秒単位で大金を生み出していますので、止めることはあってはならないことです。当然その責任は設計者が負うことになります。(疑り深いということは何度もチェックをしたり確認をしたりすることになるので、良いことなのです。)
一つのミスがとんでもない不具合や事故を起こしたりすることに加えて、この職種は口下手が多いです。だから自然と疑り深い面倒な人が多くなるのではと思います。
私の上司は昔々に接点一個追加したただけブチギレました。
おい。この前作った回路見せてみろ!
これです。
(なんかあったか?)
なんだこの回路は!
なんで接点1個追加してんだ!
これは標準化した回路で変えたら駄目な所だぞ!
すいません・・・・
今回の改造でBool#0で改造後に生かそうと思いまして・・・・
何度聞いても指示らしい指示してないじゃん
俺になすりつける気だな。
資料作れよ。
言っただろ!
見て気づかなかったのか!
(今の説教矛盾してないか?)
すいません・・・・
うまく動くじゃん。これ。
もういい!
現場から電話かかってこないといいな!
携帯の電源切っとくからな!
はい。すいません・・・・
(それ幹部職としてどうなの)
あと気にいらない新人は徹底的に嫌がらせするおっさんいました。この世界は徒弟性が多いので古狸のようなおっさんに嫌われるとマジでめんどくさかったです。マジでこんな感じでした。
元気かな?あのおっさん・・・・
(会いたくねえけど)
斜陽産業専門になると新技術に触れることができない
PLCも当然に産業機械なので、ご多分にもれず日進月歩で新しい機種や技術ができています。しかし斜陽産業の分野の担当になると、基本的には更新案件がメインになります。当然新しい技術にふれることができなくなります。
ラズパイなにそれ美味しいの?な状態です。
あのー係長。
今回キーエンスの新機種使いたいんですけど。
デモ機貸してくれるって言うし。
いつものでいいだろ。
見積もりはいつものにしてるんだから。
あれ設定が面倒で現地の担当者よく間違うんです。
キーエンスの設定が簡単なんでリスク減らせますよ。
(多分良いって言わないな)
いつものにして。
更新する時キーエンスだと代替品無いと困るから。
わかりました・・・・
(現地調整の時に俺がやるようだな・・)
新しい機種を使うこともすごい嫌がられますので、早い段階でPLCに関しての世界的なトレンドに疎くなります。それに斜陽産業は大体は少人数で回してガラパゴス化の極みになっているので、「それしかできない人」になってしまう危険が多分にあります。
今はコロナと人手不足の影響もあって無人化技術が盛んですが、斜陽産業にいると更新がメインで最新の技術に触れることが難しいです。(というか触れれない)
以下の動画は無人化や自動化に乗り出した物流センターの一例です。搬送台車は大昔からあるので、最新の技術とは言えませんが。私は搬送保管システムの設計をしていましたが、ついぞ物流センターの無人化プロジェクトはかかわらずじまいでした。
やってみたかったな・・・・
ただの入出力インターフェイス機器ぐらいに見られることがある
今のPLCの殆どはデータ処理のお化けです。
単純なIOの入力と出力で簡潔していることのほうが稀です。
あまりPLC界隈のことを「ただの入出力インターフェイス機器」
加工機を動かす簡易PCくらいに思われる時があります。
ラダー言語しか使っていないPLCって意外と少ないし、PLCゆえの便利さもあります。
ある動画でPLCの時代終了と言われていましたが、そんなことは無いはずです。
断言できます。ありえません。
こういったロジスティクスセンターのコンベヤなどはPLCで制御しているものが大半です。
その他にも太陽光や受変電設備や吸排気設備などもPLCを使っていることが多いです。
(中央監視などのコンソールがPC)
ただなぜか軽く見られることが多い。
立場上色々取り持ったりエンジニアリングすることも多いのですが・・・
色々取り持ってるのに・・・・
機械屋に不具合の尻拭いを押し付けられる
これは制御設計者あるあるなんでが、機械設計のミスをソフトで誤魔化したり逃げたりするのによく利用されます。本当はそんなことはしたくないのですが、機械を直すよりPLCの動かし方で誤魔化すほうが楽だからです。
断言します。
PLC屋はこの理不尽は避けては通れません。
職場の雰囲気によってはお願いされるとか頼られるとかよりも、押し付けられるに近かったです。場合によっては報告書の作成からお客様への説明まで押し付けられました。(機械要因だと既納設備の横展開がとんでもないことになるから)なんで俺が・・・・
あのエアー機器の不具合ソフトで逃げてだって。
お客さんから催促来てるから来週中に直しに行って来て。
はい・・・・
やっときます。
なんでその設計したかとかも連絡もなしかよ。
また機械屋逃げたな・・・・
現地の試験屋も一緒に行くの準備するの俺なんだよな・・・・
上位端末設備のプログラム屋に色々を押し付けられる
搬送システムや監視システムにとってPLCと上位端末(パソコン)は切っても切れない関係になっています。ここで上位端末のプログラム屋に押し付けられたり、運用面も好き勝手決められて押し切られたりした挙げ句にプログラムの作り直しとかすごい多いです。
上位端末は実際にオペレーターが作業するインターフェースの部分ですので、運用面の決めごととかをエンジニアリングしているケースがあります。
ここで担当が気の利かない独善的な人間だと、勝手に仕様を決めて勝手に展開したりします。
あいつめ・・・・
それなのにイレギュラー処理は結構PLCに丸投げされます。機器のインターフェース担当はそっちだし下流側で起こったことでしょってことみたいですが。
それにしてもこの上位端末のプログラム屋には色々嫌な思いさせられました。
PLC覚えたての人間は生意気になる
とにかくPLCってとっつきにくいのです。若手とかは青い顔をしながら覚えていきます。そこで何案件か教えつつやっていくと途端に生意気になり始めます。知識と経験が0から1になると、なんでもできると錯覚するようで回路設計に色々とケチをつけ始めてきました。(2sqのケーブルだと太いから0.3sqにしたら安くなりますよって・・・・。電圧効果の計算してから言ってこい。内線規定も読め。)
丸さん。
このケーブルなんですけど、こんなに近いんだったら2sq使う必要無いんじゃないんですか?
安くできるから0.3sqでいいんじゃないんですか?
あとここの沢山a接点あるんですけどいらないんじゃないんですか?
(ドヤァー!!!!)
電圧降下の計算した?
内線規定とかも読んでる?
近い遠いで選定分けてたら設計工数がすぐオーバーするよ。
0.3sqでいいって何mを基準に分けるかも決めてないでしょ?
それやってたらこのラインのハーネスって1000本はあるでしょ。
それを0.3sqにするかどうか考えないといけないよ。
ハーネス図も新規に1枚作らないといけないよ。
ここのa接点は机上検証の時に強制ONしたりするのに使うから、絶対に消さないで。
・・・・・・・
生意気なことは言うなってわけではないのですが、個人的には仕事を一通り覚えたあたりから改善提案したほうが良いと考えています。応援するタイプの上司だと色々やらせてくれると思いますが、あまり関連部署のことを知らないと、かえって仕事を増やしているだけの時があります。
とりあえずエンドユーザーや現場担当から電話がかかってくる
センサの故障だったり据え付けのミスが真因だったとしても、最初に事象に出てくるのは大抵は動作に関わる所です。そこで異常が連発して、とりあえずエンドユーザーから電話がかかってくるケースが結構あります。
頼られるのは良いことなのですが、休日とか夜中とかにかかってくるので本当に大変です。深夜にかかってきて始発で現場に向かったことが何度かあります。
さあて寝るか。
こんな夜中に電話!
RRRRRRRRR!
はい丸です!!
夜分遅くにすみません!!
〇〇の〇〇です。
動かなくなちゃって!!
承知いたしました!!
今どんな状況でしょうか!!
イレギュラー時の復旧がしづらいような設計をしていたら自業自得なのですが、機械的な問題とかそもそもの増し締め忘れとかもあって「それ制御担当じゃないよね」が多いです。
まあそれが制御設計屋の宿命と思って割り切ってください。
「既設と同じ」にせざる得ないのに「既設と同じ」にしたら怒られる
もうこれは多く書く必要は無いでしょう。「既設と同じ」にせざる得ないのに「既設と同じ」にしたら上司に怒られる。日常茶飯事です。
課長
図面書きました。
とりあえず既設と同じになるように設計しました。
あのねえ既設と同じってちゃんとシステム理解して設計してくれない。
システム理解しないまま設計すると何かあっても対処できないよ。
はい・・・・
(そう言うけどさ・・)
あなた達諸先輩が資料を残さなかったからですよ。
チェックリストも要領書も残してないからこうなってんだろ。
俺達にやらせといて自分はやらねえのかよ・・・・
キーエンスとのお付き合いは避けられない
別にデメリットでもなんでも無いですが、キーエンス製品のカタログをダウンロードすると光の速さでキーエンスから電話がかかってきます。そこから制御設計者はキーエンスと長い長いお付き合いが始まります。
気づいたらキーエンス製品が殆どになっているかもしれません。
キーエンスのカタログダウンロードしたぞ。
そろそろ電話かかってくるな。
どうも。キーエンスの〇〇です。
この度は〇〇の資料ダウンロードいただき〜
(来たねー。)
来週ならいつでも大丈夫です。
私は結構マイナーなPLCを使っていますが、キーエンスのPLCを使いたいぐらいです。キーエンスの良さって給与や営業力以外に他で語られること少ないので、いつか私見を書きたいと思います。
とりあえずSR5000などのカメラ技術とPLCは、そのうち国内No1とるのではないでしょうか。
キーエンスの回し者ではないですが、このSR-5000は革命でした。
軽く見られる
もう何も言いません。
まとめ
以上「10年以上PLCを使ってきた人間が感じた、PLC技術者であるデメリット」でした。ぐずぐず書きましたが、実績さえ積んでいけば面倒臭さはなんとかなります。
PLCはマイナーな分使えると食いっぱぐれは無いので、その点は本当に安心です。
転職するときもPLC使えると大分転職の幅が広くなります。
大変な分野ですが、機械を動かす面白さは代えがたいものがあります。
是非めげずにうまく立ち回って技術を習得していってください。
それではご安全に。
コメント
私も40前半でPLC制御を担当していましす。機械屋の尻拭いはあるあるですね。
直線搬送の移動ピッチがあるステーションで合わなくて、制御で誤魔化した事があります。当然タクトは遅くなります。
そしてその後、タクトアップしたいと。。
最近はDX関連エッジPLCを担当していますが、データベースのSQLやらされたり、インフラ系の知識が必要になってきました。
直線搬送の移動ピッチがあるステーションで合わなくて、制御で誤魔化した事があります。当然タクトは遅くなります。
↑
PLC更新した時にどうなるかとか、水平展開の必要性(必然的に自分が音頭を取らされる)、タクトアップに関しての顧客への説明とか、雪だるま式で増えていくんですよね。
何故か制御屋主体でやる(やらされる)ことになるのは辛いところです。