受配電や設備制御の現場では、アナログ入力として4–20mA信号を扱うことが多い。PLCやDCSに接続された各種センサは、この電流値をもとに値を変換し、制御や監視に利用している。
ここで一つ、よくある誤解がある。
ここで一つ、よくある誤解がある。
「デバッグには、精度の高い校正器を使うべきだ」
もちろん、試運転や本番稼働前の校正工程であれば、その通りだ。だが、PLC内部ロジックとHMI(タッチパネル)の連動確認が主目的の“デバッグ段階”であれば話は別である。
デバッグでは、現場と完全に同じ動作を再現する必要はない。ここで見るべきは以下のポイントである。
・4mA → 表示はレンジの下限になっているか
・20mA → 上限は正しいか
・中点(例:12mA)で演算結果やHMI表示は期待通りか
・Lo/Hi アラームの立ち上がり・復帰は正しく設定されているか
・スケーリングが PLC と HMI で一致しているか
・信号断(3.6mA以下)や異常(21mA以上)でフェイルセーフ動作するか
つまり、アドレス → スケーリング → 演算ロジック → HMI表示 → アラーム
この一連の流れが正しいことを確認するのがデバッグである。
“因果関係の背骨”が通っているかどうか
言い換えると、“因果関係の背骨”が通っているかどうかが重要になる。
この段階で高精度校正器を持ち出して、0.05%FSの誤差を追いかける必要はない。精度は試運転と実機調整で詰めるべき領域だ。
【安価な4–20mAガジェットでも十分な理由】
市販の簡易シグナルジェネレータでも、次が満たせていれば役に立つ。
・4/8/12/16/20mAの段階出力が簡単にできる
・ノブで連続可変調整ができる
・コンプライアンス電圧が12V以上ある
・電池駆動など、PCとGNDがつながらない構造である
特に、4→12→20mAと段階をつけたテストは、HMIゲージの追従やスケーリングの正しさを素早く確かめるのに非常に便利だ。
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【手戻りを減らすための試験手順】
① 断線相当 → 4mA
信号断アラームと復帰動作が正しいかを確認。
② 4→8→12→16→20mA(段階試験)
スケーリングとHMI表示が一致しているかを確認。
③ ランプアップ/ランプダウン(連続調整)
フィルタの遅れや波打ちが出ないかを確認。
④ 異常電流(21mA, 3.6mA)
フェイルセーフが正しく働くかを確認。
⑤ HMI → PLC の書込み試験
手動/自動切替やレンジ変更が正しく反映されるか確認。
【デバッグと試運転は役割が違う】
工程 | 目的 | 必要な器具
デバッグ | ロジック・スケーリング・HMI整合 | 安価な4–20mAガジェットで十分
試運転/本番調整 | 絶対精度・現場応答確認 | 校正器 / 標準器
両者を混同すると、作業工数が跳ね上がるため、役割を分けることが重要である。
【まとめ】
・デバッグでは精度よりも整合性が重要
・タグ、スケーリング、アラーム条件が合っているか確認できれば十分
・その目的なら安価な4–20mAガジェットで問題ない
・精度調整は試運転で行えばよい
つまり、デバッグは“正しいつながり”を確認する工程であり、現場再現は求めない。
だから安価なガジェットでよい。


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