保護継電器の仕様書や整定資料を読んでいると、
Pickup:0.2 ~ 4.0 p.u
動作範囲:1.5 p.u max
設定値:In × 1.2 p.u
といった 「p.u(per unit)」表記が頻繁に出てきます。
しかし、
p.uって結局アンペア?定格電流とどう違う?なぜわざわざp.u表記を使うの?と疑問に思う方も多いはずです。
この記事では、電気設備・保護継電器の整定で使われる p.u の意味と実務的な考え方を、できるだけ丁寧に解説します。
p.u(per unit)とは何か?
結論から言うとp.u(パーユニット)とは「基準値に対する倍率」を表す無次元の値です。
数式で書くと、
p.u = 実際の値 ÷ 基準値となります。
具体例(電流)
CT二次定格電流:1A
実際に流れている電流:1.5A
このとき、
1.5A ÷ 1A = 1.5 p.u
つまり 1.5 p.u です。逆に言えば、
1.0 p.u = 基準値と同じ
2.0 p.u = 基準値の2倍
0.5 p.u = 基準値の半分
という非常にシンプルな考え方です。
なぜアンペア(A)ではなく p.u を使うのか?
理由①:CT定格が違っても同じ感覚で扱える
保護継電器では、次のようなケースが普通にあります。
回線
CT二次定格
A回線:1A
B回線:5A
このとき、
1A系で 1.5A
5A系で 7.5A
は 物理量は違っても意味は同じです。
コードをコピーする
1.5A ÷ 1A = 1.5 p.u
7.5A ÷ 5A = 1.5 p.u
👉 p.u を使えば、CT定格の違いを意識せずに整定できる
これが最大のメリットです。
理由②:装置仕様を共通化できる
メーカー側の視点では、
1A入力
5A入力
将来の別定格
すべてを アンペア値で別々に仕様化すると非常に煩雑になります。
そこで、
「この保護要素は 0.1 ~ 4.0 p.u まで設定可能」
と定義すれば、
1A系 → 0.1~4A
5A系 → 0.5~20A
と 自動的に読み替え可能になります。
👉 p.u は「仕様をスケールフリーにするための言語」でもあります。
保護継電器での p.u の基準値は何?
多くの場合の基準値
保護継電器で p.u が使われるときの基準は、ほぼ次のどれかです。
① CT二次定格電流(最も多い)
1A または 5A
過電流(50/51)、地絡(50N/51N)など
1.0 p.u = CT二次定格電流
② 機器の定格値(母線定格など)
母線定格電流
変圧器定格電流
1.0 p.u = 機器の定格
※ 母線差動(87B)や変圧器差動(87T)で使われることが多い
③ ソフトウェア内部の正規化値
IED内部では、実電流 → 内部で正規化 → p.uで演算
という処理をしていることもあります。
整定範囲で書かれる p.u の読み方
例①:Pickup range 0.2 ~ 4.0 p.u
これは、CT定格の20% ~ 400%
1A系 → 0.2A ~ 4A
5A系 → 1A ~ 20A
という意味です。
例②:動作上限 1.5 p.u
これは、定格の 150% までが保証動作範囲
それ以上は誤差増大・保証外の可能性ありという装置性能の限界を示します。
「1.6 p.u に設定したら即NG」ではなく、
メーカーが性能保証しない領域に入るという意味合いです。
p.u を理解すると整定検討が楽になる
p.u に慣れると、次のようなメリットがあります。
CT定格を変えても整定ロジックが崩れない
海外仕様書(特にデータセンター系)が読みやすくなる
「150%」「200%」といった感覚的な議論がしやすい
複数IED・複数メーカー間で比較しやすい
特に 海外DC仕様書・ANSIベース設計では
p.u 前提の記述が非常に多いため、理解は必須です。
まとめ
p.u(per unit)とは「基準値に対する倍率」
多くの場合の基準は CT二次定格電流
p.u を使うことで CT定格差を吸収し、仕様を共通化できる
整定範囲・性能限界・保証条件を読むための重要な指標
海外仕様・データセンター案件では特に重要です。



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