特別高圧主変圧器に使われる「ETOS」とは何か

― 変圧器まわりの“信号の集約点”という考え方 ―

ETOSとは何か(ひとことで)

ETOSとは、特別高圧主変圧器に付属する各種センサ・保護機器・補機類の信号を集約するための外付け盤(端子・信号集約盤)を指す呼称です。現場では、

「変圧器の横に置く信号まとめ盤」

「主変の付属信号を一旦集める中継盤」

「保護・監視系の端子箱を発展させたもの」

といったニュアンスで使われることが多く、必ずしもIECやJISで厳密に定義された正式名称ではありません。ただし、特高クラスの主変圧器では“ほぼ必須の考え方”として定着しています。

なぜETOSが必要なのか

① 主変圧器は「信号の塊」だから

特別高圧主変圧器には、想像以上に多くの信号が存在します。

  • 油温(上部油温・巻線温度)
  • 油位
  • 圧力リレー(ブッフホルツ)
  • 突発圧力検出
  • OLTC(負荷時タップ切換装置)の位置・異常
  • 冷却装置(ファン・ポンプ)の運転/故障
  • ガス検出(DGA関連含む)

これらをすべて個別に制御盤・SAS盤へ引き込むのは現実的ではありません。

② ケーブル本数と施工性の問題

特高主変圧器は屋外据付が基本です。

  • 変圧器本体 → 建屋内制御盤
  • 数十〜100心クラスの多芯ケーブル
  • 配管・ラック・防水・耐震対応

これを直接やると、

施工が煩雑

将来改修が困難

トラブル時の切り分けが大変

そこで

👉 「変圧器の至近にETOSを置き、ここで一度信号をまとめる」

という構成が採られます。

ETOSの設置位置と構成は

設置位置→主変圧器の至近(数m以内)かつ変圧器とは多芯ケーブルで接続

内部構成(代表例)→端子台(アナログ/デジタル信号)、中継リレー、温度計・保護リレー(メーカー仕様による)、制御電源用端子、通信インターフェース(近年はEthernet対応も)

👉 “巨大な端子箱”+“簡易ローカル盤”の中間的存在

と考えると理解しやすいです。

DGAとの関係(混同しやすいポイント) DGA(溶存ガス分析装置) は、

「油の状態を分析する計測装置」

一方ETOSは、

「複数の機器・信号をまとめる箱(盤)」

という違いがあります。ただし近年は、

DGAの信号がETOSに入る。ETOS経由でSASや上位監視へ送信という構成が一般化しており、

現場感覚では“同じエリアにある関連機器”として語られやすいのが実情です。

どの業界でよく使われているか

① 電力会社・送配電分野(王道)

一次変電所

特別高圧変電所

基幹系統の主変圧器

👉 最も伝統的で標準化が進んでいる分野

② 大規模工場・プラント(製鉄・化学・半導体)

自家用特高受電

連続操業設備

👉 停止が許されないため、信号集約・保守性を重視

③ データセンター(近年急増)

ハイパースケールDC

冗長構成(Main1 / Main2)

👉 SAS・IEC 61850との親和性が高く、ETOSの役割が明確

④ 防衛・官公需・重要インフラ

基地

宇宙・研究施設

災害対策拠点

👉 長期運用・保守性・信頼性重視

デジタル変電との関係性

近年は、

ETOS → IED

ETOS → BCU

ETOS → SAS(IEC 61850)

といったデジタル連携が前提になりつつあります。

つまりETOSは、

「アナログ時代の端子箱」から「デジタル変電時代のフィールド信号集約ノード」へ進化している、と言えます。

まとめ

ETOSは特別高圧主変圧器まわりの信号を集約するための実務的に重要な盤であり、厳密な規格名称ではないが、業界では共通言語として定着している。

電力・プラント・データセンター・防衛分野で広く使用

デジタル変電・IEC 61850時代でも役割はむしろ拡大している。

特高設備は「機器そのもの」より“どう信号をまとめ、どう扱うか”が品質を左右する時代でETOSはその象徴的な存在である。

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