1. 特車申請とは?
正式には 「特殊車両通行許可申請」(+現在は「特殊車両通行確認制度」の申請も含む)と呼ばれます。日本の道路は「これくらいの大きさ・重さの車なら安全に通れる」という前提で設計されています。この基準(一般的制限値)を超える車両を勝手に走らせると、
・橋梁や舗装を傷める
・狭い道や交差点で支障が出る
・他車や歩行者の安全性が下がる
といった問題が出るため、道路法第47条の2に基づき、
「事前に道路管理者の許可を取りなさい」という仕組みが特車申請です。
2. どんな車が「特殊車両」になるのか(基準のイメージ)
下記の「一般的制限値」のいずれかを超えると「特殊車両」とみなされ、原則として特車申請が必要です(代表例)。
幅:2.5 m超
長さ:12.0 m超
高さ:3.8 m超
(一部「高さ指定道路」では 4.1 m超)
総重量:20 t超
(高速道路や重さ指定道路は条件により最大25 tまで一般扱い)
軸重・隣接軸重・輪荷重:基準値超過
最小回転半径:12 mを満たさない など
また、トレーラー連結車や重機積載車、大型コンテナ輸送、プラント機器輸送などが典型的な対象です。
3. なぜ特車申請が必要なのか(目的)
ポイントはこの2つです。
道路構造物の保全
橋・舗装・トンネル・カルバートなどは設計荷重が決まっており、
想定外の重量が繰り返し載ると、損傷・寿命低下につながります。
交通の安全確保
大型・長大車両は、内輪差・オーバーハング・死角も大きく、
交差点・カーブ・狭隘部で事故リスクが高まるため、
通行経路や時間帯・速度などに条件を付けて安全確保を図ります。
「物流・建設の必要性」と「道路・安全の保護」を両立させるための制度が特車申請です。
4. 申請の基本的な考え方
(1) 誰に申請する?
「通る予定の道路を管理している者」に申請します。
国道なら国土交通省、都道府県道・市町村道なら各自治体など。
申請経路が複数の管理者にまたがる場合は、一括申請の仕組みがあります(特車ポータル経由)。
(2) どうやって申請する?(実務イメージ)
現在は主に 「特車ポータルサイト」 からオンライン申請します。
代表的な提出情報:
車両諸元(幅・長さ・高さ・総重量・各軸重等)
積載物の内容(必要に応じて)
通行経路(出発地〜到着地までのルート)
通行期間・通行回数
自動車検査証の写し 等
申請内容をもとに、道路管理者側で
その経路の橋梁耐荷力
幅員・曲線半径・交差点形状
周辺交通状況
などをチェックし、OKであれば 通行許可証(または通行条件付きで許可) が交付されます。
5. 主な通行条件の例
許可される場合でも、次のような条件が付くことがあります:
指定ルート以外は走行禁止
通行可能時間帯の指定(夜間のみ等)
速度制限(例:徐行)
すれ違い禁止・追越し禁止
連行台数の制限
先導車・後導車の配置 など
これらに従わず走行すると、無許可通行・条件違反として指導や罰則、最悪の場合企業名公表や改善命令の対象となり得るので、元請・運送会社ともに注意が必要です。
6. 「特殊車両通行確認制度」との関係(2022年以降)
令和4年4月から、一定の要件を満たす車両については、
新たに 「特殊車両通行確認制度」 が運用されています。�
国土交通省
ざっくりいうと:
あらかじめ基準に合う「特定の車両+特定の経路」について、
構造的に問題ないかを「確認」する方式
手続き簡略化・迅速化が目的
ただし従来の「通行許可制度」と併存しているため、
現場では「どの制度に該当するか」を特車ポータル等で確認して扱います。
7. 現場視点での要点まとめ
特車申請を扱う立場(荷主・運送会社・建設会社・プラントメーカー等)として押さえるべきこと:
「基準を超える=何となくOK」ではなく、必ず事前許可(確認)が必要
ルートと期間は“許可証に書かれた範囲だけ”有効
経路変更や期間延長は、原則再申請が必要。
元請・荷主にも責任意識が必要
運送会社任せにせず、仕様やスケジュールの段階で特車手続きを織り込む。
オンライン申請前提の時代
特車ポータルを使える社内体制や、諸元管理・経路設計のノウハウが重要。


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