0. 省配線システムとは(ざっくりおさらい)
普通のリレー制御だと、センサ1点につき2本 or 3本で盤まで直結する点数が増えるほど、ケーブル本数・端子台・配線工数が雪だるま式に増える。という世界ですよね。
省配線システムでは、共通の「バス線(2芯 or 4芯など)」を1本引く「だけ」
幹線上に I/Oターミナルやセンサモジュールを “枝分かれ” でぶら下げる「だけ」
「それだけ」で、配線本数・端子数・配線時間を減らせるという仕組みです。
2芯で256点の信号を伝送できるようなシステムもあり、「省スペース・配線費・工事費の削減、配線ミス低減、増設が楽」などがメリットとして挙げられます。
1. センサレベル省配線の定番
1-1. AnyWire / AnyWireASLINK(エニイワイヤ)
国内だと “ザ・省配線システム” として真っ先に名前が出るのがこれです。
特徴として電源重畳方式:2本の線で電源+信号を同時伝送し、汎用キャブタイヤケーブルが使え、トポロジ(幹線・分岐)の自由度が高いです。センサの断線・短絡を上位から診断できる「診える化」機能があります。小型I/OターミナルやリモートI/O、アナログ・温度・ポカヨケターミナルなど豊富なラインアップがあります。
業界の中での位置付けとしては三菱の「e-F@ctory」の中でも 一番フィールド寄り(センサ領域) を狙ったネットワークで中〜小規模装置、ロボットアームの配線簡略化などに特に強いです。
現場目線でのポイントは「既設の2芯ケーブルが1ペアだけある」ような更新案件でも、その1ペアをAnyWireバスとして再利用できる可能性あります。センサ断線検知・感度設定など、診断情報が取れるので「ただ配線を減らすだけでなく、保全にも効く」タイプです。
1-2. AS-Interface(AS-i)
AS-i はセンサ&アクチュエータ層専用の省配線フィールドバスです。日本でも「スッキリ省配線 AS-i」として紹介されていて、FA展示会などでよく見かけます。2芯フラットケーブルに電源+通信を重畳。ケーブルを剥かずに “貫通コネクタ” でタップできるので、物理的な配線工数がかなり少ないです。
セーフティ信号も同じケーブル1本で伝送可能(ISO 13849-1 PL=e / IEC 61508 SIL3対応)多数のPLC/上位ネットワーク向けゲートウェイが用意されており、DeviceNet・CC-Link・PROFIBUSなどと連携可能です。
現場目線での使いどころは広いエリアに散らばるリミットSW・光電センサ・ソレノイドを「1本の黄色ケーブルでぐるっと回す」イメージです。安全系(非常停止スイッチ・安全ドアスイッチなど)を同じバスで扱えるのが大きな強み
1-3. CompoNet(オムロン)
CompoNet は ODVAが規格化したセンサ&アクチュエータ層向けオープンネットワークで、
オムロンがかなり力を入れて展開している省配線ネットワークです。(cc-linkは使いたくない?)
CIP技術ベースのセンサレベルネットワーク(EtherNet/IPファミリ)
約1000点規模のI/Oを 1msクラスの高速でサイクリック通信可能
丸形ケーブル・フラットケーブル両方に対応し、マルチドロップ配線で省配線
ビットスレーブが非常に小型で、「I/Oのすぐそばに置く」前提の設計
現場目線での使いどころはオムロン系PLC(CJ/CS/NJ/NX 系)+センサ群で省配線したい場合の本命です。ライン速度が速く、I/O点数も多い搬送ライン・組立ラインに向き
1-4. DeviceNet(オムロン/三菱など多数)
DeviceNet は元々はCANベースのフィールドネットワークですが、「配線をまとめて簡単にしたい」、「センサ〜PLC間の配線をバス化したい」という目的で日本でも長らく使われてきた省配線フィールドネットワークの代表格です。
4芯(電源+通信)の専用ケーブル (THIN/THICK)でバス配線で、スター結線、マルチドロップ、T分岐など、配線自由度が高いです。PLC側・I/O側ともにマルチベンダ対応で、機器選択の自由度が高いのが特徴です。
現場目線では既存設備のリプレースでは今でもよく遭遇します。新規案件だと EtherNet/IP / CC-Link IE に押され気味ですが、「既設DeviceNetをどう置き換えるか?」というテーマではまだまだ現役です。
2. 日本発フィールドネットワーク系(結果的に省配線)
2-1. CC-Link / CC-Link IE Field / CC-Link IE TSN
CC-Link は日本発の代表的なフィールドネットワークで、
「配線を束ねて1本にする」という意味で、広い意味での省配線システムです。
CC-Link(従来)
専用ケーブルを用いるシリアルベースのフィールドバス
最大10Mbpsの高速通信で、リモートI/O・インバータ・温調などを接続
CC-Link IE Field / Field Basic / TSN
1Gbps イーサネットベースのオープンネットワーク
リング・スター・ラインなど柔軟なトポロジ
TSN版ではリアルタイム制御と通常Ethernet通信を同一ネットワーク上で共存可能
省配線としての意味
かつては「盤から各設備へ多芯ケーブル」で配線していたものを
CC-Link幹線+リモートI/Oに置き換えることで、配線本数を大幅削減
CC-Link IE にすると、さらに「情報系LANとの一体化」まで含めて
ケーブル種類そのものを減らす方向での省配線ができる
3. 「接続・省配線機器」系(コネクタ化・I/Oターミナル)
オムロンなどが「接続・省配線機器」としてカテゴリ化しているのが、
コネクタ端子台・I/Oリレーターミナル・センサI/Oコネクタ等です。
代表的なもの
PLCのコネクタ出力 ⇔ 端子台変換ユニット
センサI/Oハブ(丸型防水コネクタでまとめて接続)
DINレール端子台、コモン端子台 など
役割
完全なフィールドバスではないが、
「盤内・盤周りの配線をコネクタ化して工数削減」する
省配線システム(AnyWire/AS-i 等)と組み合わせると、
盤内〜盤外まで含めて配線工数をまとめて落とせる
4. 最近増えているグローバル系(参考)
質問は「国内のメジャーな省配線システム」ですが、
日本の現場で普通に見かけるという意味では、下記も 省配線用途で多用 されています。
EtherNet/IP(主にオムロン・ロックウェル系)
EtherCAT(高速モーション+I/O)
PROFINET(欧州系装置)
IO-Link(センサレベルのスマート配線)
これらは 「フィールドバス/産業用イーサネット」カテゴリとして語られることが多いので、
ここでは名前だけに留めますが、
「リモートI/Oをネットワークでぶら下げる」=実質、省配線
という意味では、AnyWireやAS-iと同じ思想の延長線上にあります。
5. ざっくり使い分けイメージ
現場でのざっくりな感覚としては、こんなイメージです:
とにかくセンサ配線を減らしたい(2線だけで多点)→ AnyWire / AS-i / CompoNet
既設DeviceNetを活かす・更新する→ DeviceNet継続 or EtherNet/IP / CC-Link IEへ段階的移行
日本発オープンネットワークで、装置全体の配線をバス化→ CC-Link / CC-Link IE系
盤内も含めて、とにかく端子ねじを減らしたい→ コネクタ端子台・I/Oリレーターミナル等の「接続・省配線機器」+上記ネットワーク
まとめ
国内で「省配線システム」という言葉でよく挙がるのは、
AnyWire / AnyWireASLINK(エニイワイヤ・三菱)
AS-Interface(AS-i)
CompoNet(オムロン)
DeviceNet
CC-Link / CC-Link IE 系(広い意味での省配線フィールドネットワーク)
+ コネクタ端子台・I/Oターミナルなどの接続・省配線機器群



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