電験三種を目指す工業高校生へ

──「割に合わない」と言われる資格に、それでも挑戦する意味

工業高校に通っていると、

  • 「電験三種を取れたら将来安泰だぞ」
  • 「電気主任技術者は食いっぱぐれない」

そんな言葉を一度は聞いたことがあると思います。

確かに、電験三種は電気系資格の中でも知名度が高く、就職や転職の場面で評価されやすい資格です。しかし、最初に正直なことを言っておきます。

電気主任技術者という仕事は、決して“割の良い仕事”ではありません。

それでもなお、あなたが電験三種に挑戦する価値は十分にあります。

その理由を、現場を見てきた立場から率直に書いていきます。

電気主任技術者は「責任を一身に受ける仕事」

まず、現実の話からしましょう。

電気主任技術者とは、

  • 高圧・特別高圧設備の保安責任を負う
  • 事故が起きたとき、説明責任を問われる
  • 点検・保安・記録・立会いの最終責任者

という立場です。

言い換えると、

「判断権は少ないのに、責任だけは重い」

という仕事になりやすいのが現実です。

設備の設計をしたわけでもなく、工事をしたわけでもなく、運用方針を決めたわけでもないのに

「電気主任技術者としてどう判断したのか?」

と問われる場面は、実際にあります。

その意味では、責任の重さに対して報酬や裁量が見合っていないと感じる人が多い仕事なのも事実です。

それでも「勉強したことは必ず役に立つ」

では、電験三種の勉強は無駄なのか?

答えは はっきりNO です。電験三種の勉強で身につくのは、

  • 電気の基礎理論(電圧・電流・インピーダンス)
  • 発電・変電・送配電の仕組み
  • 保護継電器・遮断器の考え方
  • 電力設備の安全思想

つまり、電気を扱う仕事をする上での“共通言語” です。これは将来、

  • 電気工事士
  • 設備管理
  • プラントエンジニア
  • 制御・FAエンジニア
  • 電力会社・メーカー技術職

どの道に進んでも、必ず役に立ちます。

たとえ電験三種に合格できなかったとしても、勉強した知識は確実にあなたの武器になります。

「とりあえず持っている」だけで役立つ場面は多い

電験三種の面白いところは、持っているだけで評価される場面が多いという点です。

  • 電気の基礎がわかっている人
  • 責任ある資格に挑戦した人
  • 独学で勉強できる人

こうした評価は、履歴書の1行だけで伝わります。

特に若いうちは、

「まだ実務経験はないけど、電験三種を勉強している」

というだけで、大きな差 がつきます。

会社に入ってからも、

  • 電気の話が通じる
  • 設備の話についていける
  • 上司から説明を任されやすい

といった場面が増えていきます。

今できなくても、社会人になってからでいい

ここも大事なポイントです。

工業高校生の多くは、

  • 数学が苦手
  • 理論がわからない
  • 電力・機械が難しい

と感じます。

でも安心してください。

電験三種は社会人になってから受かる人の方が多い資格です。

理由はシンプルで、

現場経験があると理解が早い

「なぜ必要か」がわかる

勉強の優先順位をつけられる

からです。

高校生のうちに合格できなくても、 「どんな試験か知っている」 「一度勉強したことがある」

この差は、数年後に必ず効いてきます。

合格しても“将来安泰”ではない

これは厳しい話ですが、とても大事です。

電験三種を取ったからといって、 一生安泰な時代ではありません。

理由は:

  • 設備の高度化・自動化が進んでいる
  • 責任だけ重くなる傾向
  • 人手不足なのに待遇が追いつかない
  • 資格だけでは仕事が回らない時代

つまり、

「資格を取ったら終わり」ではなく、「スタートラインに立てる」だけ

ということです。

本当に大事なのは、

  • 現場で何を学ぶか
  • どんな技術を身につけるか
  • どんな分野に進むか

です。

それでも、電験三種に挑戦する価値はある

ここまで読むと、 「じゃあ取らない方がいいのでは?」 と思うかもしれません。

でも、私はこう思います。

👉 それでも電験三種に挑戦する価値はある。

なぜなら、

  • 電気の基礎を体系的に学べる
  • 技術者としての視野が広がる
  • 将来の選択肢が確実に増える
  • 努力した経験が残る

からです。

特に工業高校生にとっては、

「若いうちに本気で勉強した経験」

そのものが、何よりの財産になります。

最後に:今は分からなくていい

今、難しくて理解できない、モチベーションが上がらない、将来が不安

そう感じているなら、それで正常です。

大切なのは、 「挑戦しようとしたこと」そのものです。

電験三種は、 あなたの人生を決める資格ではありません。

でも、 あなたの可能性を広げる資格ではあります。

焦らなくていい。 途中で止まってもいい。 社会人になってから再挑戦してもいい。

それでも――

「一度、電験三種に挑戦した」という事実は、きっと将来のあなたを助けてくれます。

電気主任技術者の仕事と現状についても書いていますので、こちらも参考にどうぞ

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