微小な電流は常時接地側へ流れています。ただしそれは「地絡」とは呼ばず、正常状態における微小な不平衡電流や**充電電流(leakage current)**に過ぎません。
三相平衡でも“理想的ゼロ”にはならない理由
理想的な三相系では、各相電圧が正確に120°ずつ位相がずれ、大きさも完全に等しいとき、中性点電位=地電位で、接地側に電流は流れません。
しかし実際の系統は以下のような微小な要因で完全な平衡を保てません。
要因:ケーブルや変圧器の不平衡
・相ごとにインピーダンスや長さが微妙に異なる
・負荷の不平衡
・三相負荷が完全対称になることは稀
・絶縁体のばらつき
・各相の対地静電容量が微妙に異なる
・外部ノイズ・誘導
・系統内のスイッチングや雷サージなど
このため、中性点と大地の間に数V〜十数V程度の電位差が発生し、それに対応して μA〜mAオーダーの微小電流が流れます。
“微小な地絡電流”と“地絡事故”の違い
微小不平衡時:数μA〜数mA程度
地絡事故時:数A〜数百A(接地方式による)
微小不平衡の原因
不平衡・静電容量・ノイズ、絶縁劣化・導体接触、高感度の零相電流計でかろうじて観測
地絡継電器で確実に動作
安全上の扱い
正常範囲
異常(保護動作が必要)
🔹3. 接地方式別に見た「常時の微小電流」
接地方式と常時流れる電流の特徴
直接接地(高圧・特別高圧など)
・系統容量が大きいため、対地静電容量電流が常時mA〜十数mA流れることもある
抵抗接地
・抵抗で制限されているため、常時はほぼ0に近い
消弧リアクトル接地
・不平衡時の充電電流を打ち消すため、常時電流は微小
非接地(低圧や古い設備)
・微小な静電容量電流が自然に流れ、完全な絶縁でも数mAオーダーの零相電流がある
🔹4. 現場での実感例
零相電流検出器(ZCT)をクランプしてみると、0.5〜3 mA程度の常時値が観測されるのは正常です。
ただしその値が周期的に変動したり10 mA以上に増加する場合は、どこかで絶縁低下や水分侵入などが始まっている可能性があります。


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