接地の目的
電気設備において「接地」は単なるアースではなく、安全と信頼性の基盤です。主な目的は次の3つに分類されます。
1. 感電防止(機器外箱の電位上昇を防ぐ)
2. 過電圧抑制(雷やサージを逃がす)
3. 動作安定・保護リレー検出の容易化
日本国内の接地種別(A〜D種)
日本では電気設備技術基準(電技解釈)により、電圧や用途に応じて接地の種類が区分されています。
| 種類 | 名称 | 接地抵抗の目安 | 主な用途 |
| A種 | 高圧・特別高圧機器の筐体接地 | 10Ω以下 | 高圧受電設備、遮断器、変圧器 |
| B種 | 中性点接地 | 設備ごとに設計(低抵抗) | 66kV変電所、154kV系統など |
| C種 | 300V超の低圧機器筐体 | 10Ω以下 | 三相200V機器 |
| D種 | 300V以下の低圧機器筐体 | 100Ω以下 | 一般家庭機器など |
IEC(国際電気標準)方式での分類
海外ではIEC60364に基づき、供給系統の中性点と筐体の接地関係で分類します。
| 系統 | 名称 | 特徴 | 採用例 |
| TN系 | 中性点直接接地しPE線で筐体を接続 | 短絡電流が大きく保護が速い | 欧州・日本高圧系統 |
| TT系 | 中性点接地+筐体独立接地 | 漏電遮断器で感電防止 | 欧州家庭用 |
| IT系 | 中性点絶縁または高抵抗接地 | 地絡しても停止しない | 医療・軍用・データセンター |
日本と海外の対応関係
| 概念 | 日本の分類 | IEC方式 | 備考 |
| 中性点直接接地 | B種接地 | TN系 | 特高・高圧主流 |
| 高抵抗接地 | B種(高抵抗) | IT系 | データセンター等 |
| 低圧筐体接地 | A〜D種 | TT/TN系のPE接続 | 配電盤・OA機器 |
特別高圧受変電設備における接地
特別高圧(66kV以上)では安全性・雷対策・保護協調を考慮して複数の接地が組み合わされます。
| 接地区分 | 対象機器 | 主目的 | 備考 |
| 中性点接地(B種) | 変圧器・母線 | 地絡電流制御、過電圧抑制 | 直接または抵抗接地 |
| 保安接地(A種) | GIS・遮断器筐体 | 感電防止 | 10Ω以下 |
| 避雷器接地 | LA・引込部 | 雷電流放流 | 10Ω以下 |
| 制御・計測接地 | 操作盤・IED | 雑音防止 | 100Ω程度 |
これらを「接地網(アースマット)」で等電位化し、接触電圧と歩幅電圧を抑える設計が行われます。
接地抵抗設計の考え方
特別高圧設備では、地絡電流と人体許容電位(Step & Touch Voltage)を基準に接地網の設計を行います。
例:66kV変電所の場合
→ 地絡電流:数kA〜数十kA
→ 目標接地抵抗:1Ω以下
世界各国の接地方式比較
| 地域 | 主流方式 | 備考 |
| 日本 | B種+A種(直接接地) | 電技解釈準拠 |
| 欧州 | TN-S, TT | L/N/PEを分離管理 |
| 北米 | TN-C-S | コスト重視 |
| データセンター | IT系・HRG | 運転継続性重視 |
まとめ
・日本のA〜D種は電圧区分と接地抵抗値による分類。
・IECのTN・TT・IT系は中性点接地と筐体接地の関係で分類。
・特別高圧設備ではB種(中性点)+A種(保安)を接地網で一体化。
・データセンター・防衛施設ではIT系・高抵抗接地が採用される傾向。
接地は「安全」「信頼性」「ノイズ耐性」の基礎技術。特に特高設備やデジタル変電所では、接地設計そのものが品質の根幹を支えています。



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