67Nと67Gの違いと、抵抗接地方式で感度が鈍る理由【詳細解説版】

この記事では、地絡方向継電器(Directional Earth Fault Relay)である「67N」と「67G」の違い、そして抵抗接地方式(高抵抗・低抵抗いずれも)を採用した際に感度が鈍る理由を、理屈・数式・ベクトル・現象・実務対策の観点から徹底的に解説します。

1. 地絡方向継電器の基本動作(ゼロ相系で考える)

地絡方向継電器(67N/67G)は、零相電圧(3V₀)と零相電流(3I₀)の位相関係をもとに、地絡が母線側なのか線路側なのかを判定します。方向要素は3V₀×3I₀の有効分(cosφ)に比例して動作するため、零相電流の大きさと位相が感度を左右します。

2. 接地方式が零相回路に与える影響

単相地絡時の零相回路は、系統の零相インピーダンスZ₀に中性点インピーダンスZn(=接地抵抗Rnなど)が直列に入る形になります。その関係は以下のように表せます:
 3V₀ = (Z₀ + Zn) × 3I₀ 
 3I₀ = 3V₀ / (Z₀ + Zn)

抵抗接地ではZn = Rn(実数成分)となるため、零相回路のインピーダンスが大きくなり、角度も抵抗寄りになります。結果として、零相電流(3I₀)が小さくなり、電流位相が電圧に近づく(抵抗的になる)ため、感度が下がります。

3. 感度低下の主要因

抵抗接地で地絡方向継電器の感度が鈍る主な要因は以下の5つです。

  1. ① 零相電流(3I₀)の絶対値が小さくなる
  2. ② 零相電流と零相電圧の位相関係が抵抗寄りに変化し、方向要素の特性角と合わなくなる
  3. ③ 健全相の対地静電容量電流と合成され、合成電流の有効分が減る
  4. ④ 故障抵抗(アーク抵抗・大地抵抗)の影響でさらに3I₀が減少し、方向判定マージンが小さくなる
  5. ⑤ 外乱(CT誤差・誘導電流)が相対的に大きくなり、誤方向や未動作が起こりやすくなる

4. 数式的視点から見た感度低下

方向継電器では零相補償係数 k₀ = (Z₀ – Z₁)/Z₁ を用いて零相成分を補正しますが、抵抗接地ではZ₀が抵抗性に寄るため、k₀の角度が変化します。これにより、方向要素で計算される有効トルクが設計値とずれ、感度低下を招きます。

5. 実際の現場で起こる“鈍り方”の例

高抵抗接地(HRG:地絡電流5〜10A級)の場合、容量電流と合成されて位相が不安定になり、3I₀が数A〜十数A程度と非常に小さいため、CTの合成誤差が無視できなくなります。低抵抗接地(LRG:数百A級)では、電流は比較的大きいものの、電流の性質が抵抗性で、方向要素の特性角とずれることで感度が落ちることがあります。

6. 感度低下への対策

抵抗接地系で感度を補うための主な手法は次のとおりです。

  1. 1) ワットメトリック(有効電力)方式の採用:抵抗成分に強く、方向誤判定を防げる。
  2. 2) 零相補償係数k₀と特性角を実系統のZ₀・Z₁に合わせる。
  3. 3) 最小動作電流を下げ、整定時間を長めにして誤動作を回避。
  4. 4) 59N(零相過電圧)と組み合わせた二段構え保護を導入。
  5. 5) 中性点CT方式(67G)を採用して、実際の地絡電流を直接検出する。

7. 67Nと67Gの違い

67Nも67Gもどちらも地絡方向継電器ですが、電流の検出方式に違いがあります。基本動作原理は同じであり、3V₀と3I₀の位相差から地絡方向を判定します。

種別検出方法主な用途特徴
67N各相CT二次から3I₀(Ia+Ib+Ic)を合成して検出受電設備・配電線CT合成誤差に注意が必要。抵抗接地では感度が低下しやすい。
67G中性点接地線にCTを設置し、地絡電流を直接検出発電機・変圧器の中性点保護実電流を検出するため感度が高く、抵抗接地でも有利。

つまり、67Nは「零相電流(合成)」、67Gは「接地線電流(直接)」を検出します。目的は同じでも、小電流系統では67Gの方が安定した動作が得られます。

8. まとめ

抵抗接地方式では、地絡電流が意図的に制限されるため、零相電流が小さくなり、方向継電器の感度が低下します。67N方式はCT誤差や容量電流の影響を受けやすく、整定の工夫が必要です。一方、67G方式(中性点CT)は実電流を取れるため、抵抗接地系でも安定して方向判定できます。

最適な対策は、系統の接地抵抗値・容量電流・保護範囲を考慮し、67N/67Gを組み合わせた保護設計を行うことです。

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