――「資格を持っている=成功」ではない現実
「電験三種(第三種電気主任技術者)」は、電気・エネルギー分野に関わる人の間ではよく知られた国家資格です。試験範囲が広く、数学・物理・電気回路・法規など多岐にわたる知識が求められ、合格率はおよそ10%前後。学生で取ることができれば「すごい」「潜在能力が高い」と評価される資格のひとつとされています。
しかし、ここで一つ大事なことをはっきり言っておきます。
電験三種に合格したからといって、就活が自動的に有利になるわけではありません。
まして、将来が保証されるわけではまったくありません。
この言葉は、これから電験三種を勉強しようとしている高校生・高専生に対して、水を差すためのものではありません。むしろ、今のうちに「資格と現実の関係」を知っているかどうかで、その後の進路の選び方、会社の選び方、働く意識が大きく変わるからです。
ここでは、「なぜ電験三種があるだけでは安泰ではないのか」「それでもなぜ電験三種が重要視されるのか」を、できるだけ具体的に説明していきます。
電験三種は何の資格なのか
電験三種は、電気主任技術者としての資格です。
これは「電気設備の保安(安全維持)」を行うために法律で置かれる技術者で、例えば以下のような設備が対象です。
・工場の受変電設備
・大規模ビルや商業施設の電気室
・病院・データセンターの電源設備
・発電所や変電所
・受変電設備のリレー試験、耐圧試験
これらは「電気を大量に扱う設備」であり、事故が起きれば人命だけでなく、経済活動にも深刻な影響が出ます。そのため、法律(電気事業法)によって、一定規模以上の電気設備には必ず電気主任技術者を置かなければならないと決められています。
つまり、電験三種は「電気設備の保安を担当するための資格」。
言い換えると、電験三種は「電気主任技術者が必要な現場でしか直接的には使われない」。
「電験三種があるだけで就活に強い」は半分は本当、半分は誤解
SNSや一部ブログでは、こう書かれていることがあります。
・「電験三種があれば就活無双!」
・「一生食いっぱぐれない!」
・「転職に困らない!」
こうした言葉は、完全に間違いではありません。
しかし、大きな前提条件が抜けています。それは、電験三種は、電気設備の保安を行う職能が必要な会社においてのみ価値が高い、ということです。
電験三種が「強み」として評価されやすい業界は、以下の通りです。
・工場(メーカー系)
・ビル・施設管理系企業
・電力・変電設備保守企業
・発電所(火力・水力・太陽光)
逆に言えば、上記に該当しない会社では、電験三種はほとんど評価されません。
「資格を取れば人生安泰」という幻想の危険性
社会ではこう見られます。
資格は「できることの証明」ではなく、「スタートラインに立ちやすくなる権利」
持っているだけでは評価されず、実務経験と組み合わせてはじめて価値になる。
特に電験三種の場合は、「資格を持っている=設備を安全に管理できる」とは限らないため、実務経験が非常に重視されます。
電験三種は「活かす場所を選ばなければ意味がない」
電験三種は「資格そのものより、どう使うかを考えられている人」に価値が生まれます。
では、電験三種は無駄なのか?もちろん無駄ではありません。
電験三種は将来の可能性を広げる強力な選択肢の一つです。
ただし、資格取得 → 適した業界に就職 → 実務経験を積む、という流れが必要です。
まとめ
電験三種は「安泰の保証」ではない。
しかし、自分の意思で道を切り拓くための「鍵」にはなる。
あなたの努力は必ず意味を持つ。
ただし、それを形にするかどうかは、これからの選択と行動次第です。



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