設計コンサルは、一言でいうと**「インフラや建物などの“中身”を考え、形にする専門家集団」**です。施工会社(ゼネコン)やメーカーが「つくる人」だとすれば、設計コンサルは「どういうものを、なぜ、どこに、どんな条件でつくるべきか」を企画・設計し、技術的に支える「頭脳役」と思ってもらうとイメージしやすいです。
ここから先は、就活・転職・実務目線でも分かるように、やや丁寧めに整理していきます。
1. 設計コンサルとは?
日本で「設計コンサル」「建設コンサル」「総合建設コンサルタント」と呼ばれる会社は主に、
・道路・橋梁・トンネル
・河川・砂防・ダム・港湾
・上下水道
・鉄道・空港
・エネルギー・送配電・再エネ関連設備
・都市計画・まちづくり
・防災・減災・BCP
・環境アセスメント
・海外インフラプロジェクト
などの公共インフラや社会基盤に関する調査・計画・設計・施工監理・維持管理支援を行う専門会社です。
自社で施工機械を持って現場工事をするのではなく、**技術サービスを提供することが「商売」**です。典型的には、
発注者:国土交通省、地方自治体、公社、公団、JICA、電力・鉄道・デベロッパなど
受注者:設計コンサル(建設コンサルタント)
施工:ゼネコン、サブコン、メーカー
という三層構造になっており、設計コンサルは発注者側のパートナーとして中立的な立場からプロジェクトを支えます。
2. 具体的に何をする会社か
(1) 調査・現況把握
まずは「本当に何が必要か」を把握するところから始まります。
交通量調査、地質調査、ボーリング、測量
浸水リスク解析、土砂災害リスク評価
構造物の老朽化診断、劣化調査
環境影響調査(動植物、生態系、騒音、振動、大気、水質など)
ここで集めたデータがすべての基礎になります。
(2) 計画・構想・フィージビリティスタディ
次に、「そもそもどんな解決策が良いのか?」を技術と経済性の両面から検討します。
複数案比較(ルート案、高架か地下か、新設か改築か、容量はどのくらいか)
事業採算性・費用対効果(B/C)評価
事業スキーム提案(PPP/PFI、コンセッションなど)
都市計画・地域計画との整合
つまり**“仕様書を作る前の段階から、頭を使って決めていく役割”**です。
(3) 基本設計・詳細設計(狭義の「設計」)
ここが「設計コンサル」の中核業務です。
橋梁形式の選定、桁・基礎・耐震の設計
河川堤防・排水機場の設計
道路線形、交差点、インターチェンジの設計
トンネル断面、覆工、換気・防災設備
上下水道管径、処理場能力レイアウト
電力設備・変電所・送電線ルートや機器配置 ※一部専門コンサルやメーカー系も担当
CAD/BIM/CIMを用いた図面作成、3Dモデル化
ここで作られた設計図書や数量計算書が、その後ゼネコンが入札・施工するためのベースになります。
(4) 入札支援・発注者支援
発注者(官公庁等)は、すべてを自前で設計・評価できるわけではないため、設計コンサルが支えます。
設計図書・仕様書・予定価格作成支援
入札・プロポーザルの技術評価支援
施工計画案の技術的チェック
契約条件の技術面助言
(5) 施工監理・品質管理(スーパーバイザー)
工事が始まってからも、図面通り・仕様通りに作られているか、技術的な目線で確認します。
施工計画書の確認
現場立会い、配筋検査、出来形・品質管理の確認
設計変更の検討(地中障害発見、物価高騰、仕様見直し等)
工期・コスト・品質に関する技術助言
(6) 維持管理・更新計画・DX
最近はここがかなり重要です。
橋梁・トンネル・ダム・河川施設等の定期点検・診断
補修・補強設計、長寿命化計画
センサー・IoT・ドローン・3Dスキャンを用いたモニタリング
アセットマネジメント(更新投資の最適化)
カーボンニュートラル・レジリエンス対応の提案
(7) 海外インフラ案件
日本の設計コンサルはJICA案件や世界銀行案件などで海外インフラにも強いのが特徴です。
開発途上国の道路・港湾・空港・発電所
都市交通(BRT、鉄道)、上下水道
マスタープラン、技術移転、人材育成
たとえば日本工営やオリエンタルコンサルタンツグローバルなどが、多数の国で事業を展開しています。
3. ゼネコンや設計事務所との違い(ざっくり整理)
ゼネコン:
工事を受注して「つくる側」
施工計画・現場管理・安全管理・職人手配などが主業務
意匠系設計事務所:
建築物(ビル、住宅、商業施設など)のデザイン・意匠設計が中心
建築家色の強い世界
設計コンサル(建設コンサル):
社会インフラ・土木構造物が中心
発注者側の立場で調査〜計画〜設計〜施工監理〜維持管理まで技術支援
公共性が高く、制度・基準・法令との整合、費用対効果なども含めてトータルに考える
インフラの「公共性」「中立性」が重視されるため、設計コンサルは技術士・RCCMなどの資格を持った技術者が多数在籍し、法的にも位置づけられた専門職集団という側面があります。
4. 代表的な設計コンサル会社(日本)
以下は、日本国内でよく名前の挙がる建設・インフラ系コンサルティング会社(一部グループ含む)です。順不同で、「大手〜中堅・特色ある会社」を混ぜて挙げます。
大手・総合系(インフラ全般)
日本工営(NIPPON KOEI)
日本を代表する総合建設コンサルタント。エネルギー・交通・都市開発・河川ダム・海外インフラまで幅広く、日本最大級かつ国際案件にも強い。
パシフィックコンサルタンツ(PACIFIC CONSULTANTS)
戦後インフラ整備から続く大手。道路・都市・環境・再エネ・PPPなど。
パシフィックコンサルタンツ株式会社
オリエンタルコンサルタンツ / オリエンタルコンサルタンツグローバル(OC Global)
道路・交通・都市・海外案件に強く、アジア・アフリカなど世界各地でプロジェクトを展開。
建設技術研究所(CTI / CTIエンジニアリング)
河川・ダム・上下水道・道路など社会資本整備全般で実績を持つ老舗。
長大(CHODAI)
橋梁分野に強みを持ちつつ、道路、港湾、都市開発など総合的に展開。海外案件も多数。
専門・中堅どころ(例)
※ここは代表例であり、他にも多数あります。
エイト日本技術開発:上下水道、道路、環境分野などで知られる総合コンサル。
日本工営都市空間、日水コン、オリジナル設計 など:上下水道・都市計画等に強み。
中央復建コンサルタンツ、建設技術コンサルタント各社:河川・道路・防災等。
地域密着型コンサル:各地方に本社を置き、地場インフラに強い会社が多数。
また、海外案件や国際協力に関わる企業は、国際開発コンサルタント協会(IDI-JAPAN)の会員リストなどにも整理されており、日本工営、オリエンタルコンサルタンツグローバル、長大ほか多くの設計コンサルが名を連ねています。
5. どういう人に向いている会社か(おまけ)
あなたが進路や転職で気になっている前提で少しだけ。
設計コンサルは:
「モノを売る」より技術で価値を出したい人
社会インフラ・公共性・防災・まちづくりに興味がある人
計算・図面・解析・法律・環境など粘り強く勉強し続けられる人
現場にも行きたいが、自分の設計が形になるプロセス全体を見たい人
に向いています。一方で、
忙しい時期は長時間労働になりやすい
公共事業中心で、制度やルールに沿った堅い仕事も多い
といったリアルもあります。
もしこのあと「就活目線で各社の違い」「インフラ系メーカー・ゼネコンとの関わり」「電気・特高分野から見るとどのあたりが相性良いか」まで書き起こしたい場合は、その前提でブログ用原稿もまとめます。



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