■ はじめに:コンサルの“言葉巧み”というイメージ
「コンサルは口が上手いだけ」「資料はきれいだが中身がない」――。
そんな印象を持つ人は少なくありません。
実際、現場の実務者からすれば、彼らの提案が理想論や机上の空論に聞こえることもあります。
しかし一方で、企業や自治体の課題を整理し、方向性を示してくれるコンサルも確かに存在します。
問題は、「どのコンサルが本当に誠実なのか」を見抜くことが難しいという点です。
■ 1. 「誠実なコンサル」とは何か
誠実なコンサルとは、**「顧客のために、耳の痛いことも言える人」**です。
それは単に正直者という意味ではなく、プロとしての覚悟を持ち、短期的な契約継続よりも長期的な信頼関係を重視する姿勢を指します。
誠実さとは、次のような要素に現れます。
数字の裏側まで説明できること(「なぜそうなるのか」を示す)
現場を軽視しないこと(机上の分析だけで結論を出さない)
自分の限界を知っていること(「分からない」と言える)
他者の功績を奪わないこと(現場や社員の努力を正当に評価する)
こうした態度は、一見地味ですが、プロジェクトを進める上で最も信頼できる特性です。
■ 2. 「誠実さ」を見抜く3つの観点
① 言葉より「前提条件」を重視しているか
多くのコンサルは、「成果が出ます」「コストが下がります」といった結果の断定で信頼を得ようとします。
しかし、誠実なコンサルはまず**「それが成立するための条件」**を話します。
「この方法は有効ですが、現場のデータが揃っていなければ効果は出ません」
「この仕組みを導入する前に、部門間の合意形成が必要です」
こうした“前提条件の明示”は、聞き手に安心感を与えると同時に、提案内容の信頼性を高めます。
表面上の「できます」よりも、「どうすればできるか」を語る人を信用しましょう。
② 現場を訪れ、観察する姿勢があるか
机上で資料を作り、分析だけで判断する人ほど、現実とのズレが生まれます。
誠実なコンサルは、現場の声や空気感を大切にします。
それは、データには表れない“運用上の真実”を知っているからです。
たとえば、
図面上は最適でも、作業員が安全に動けない
理論上はコスト削減になるが、現場負担が増す
こうした矛盾を指摘できるのは、現場を見た人だけです。
現場に足を運ぶコンサルは、成果よりも「実現性」を重んじている証拠です。
③ 「成果が出なかった理由」も語れるか
誠実なコンサルは、成功事例だけを語りません。
むしろ、「失敗事例から何を学んだか」を共有してくれる人ほど信頼できます。
なぜなら、プロジェクトには必ず不確実性があり、それを隠さずに扱うことが成熟した姿勢だからです。
「以前、似た案件で思ったように効果が出ませんでした。その原因は〇〇でした」
「この方法にもリスクがあります。リスクを減らすには□□の手順が必要です」
成功率だけを誇張せず、リスクの扱い方を具体的に説明できるかどうか。
ここに誠実さがにじみます。
■ 3. “うまい話”を疑う勇気を持つ
「今なら補助金が取れます」「AIで生産性が倍増します」「デジタル化すればすぐ改善します」
――こうしたキャッチーな提案ほど、注意が必要です。
誠実なコンサルは、そうした“うまい話”を無責任に並べません。
むしろ、**「補助金を使うなら将来的な維持費が増える可能性もあります」**と冷静に指摘してくれます。
甘い夢ではなく、現実のコストとリスクを伝えてくれる人こそ、本物の助言者です。
■ 4. 「問いの質」で見抜く
実は、誠実さは質問の仕方にも表れます。
誠実なコンサルは、最初の打ち合わせでこう尋ねます。
「なぜこの課題を解決したいのですか?」
「理想の状態とはどんなものですか?」
「誰が一番困っていると感じますか?」
逆に、「いつ導入しますか?」「どの予算でいきますか?」とすぐに話を進めるタイプは要注意です。
それは、課題解決よりも“契約成立”を優先している可能性があります。
質問の深さと誠実さは比例します。
■ 5. 誠実なコンサルは、時間を味方にする
誠実なコンサルは、短期間で大きな成果を約束しません。
なぜなら、組織の変化には時間がかかることを知っているからです。
「3か月で劇的に変わる」よりも、
「半年後に定着し、1年後に数字に表れる」――。
このように、地に足の着いた時間軸で語る人は、現実を見ています。
また、報告書を出して終わりではなく、
「実行後にフォローアップをしたい」と申し出てくれる人も信頼できます。
それは、成果に対して責任を持つ姿勢の表れです。
■ 6. まとめ:誠実なコンサルは“夢と現実の橋渡し役”
コンサルの役割は、現実を変えるために「夢を描く」ことです。
しかし、誠実なコンサルは夢だけを語りません。
夢を現実に落とし込むプロセスの難しさを、きちんと共有できる人です。
・都合のいい数字を出さない
・リスクを隠さない
・現場に寄り添う
・「できません」と言える
こうした人こそ、長期的に信頼できる“誠実なコンサル”です。
もしあなたがコンサルの助言を受ける立場にあるなら、
「話がうますぎる人」よりも「誠実に迷ってくれる人」を選びましょう。
その迷いこそが、あなたの組織を本当に良くしようとする姿勢の証だからです。



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