定義:設置者(需要家)が自ら実施した使用前自主検査の“実施体制”や“やり方・記録”が適切かを、国の登録を受けた第三者(登録安全管理審査機関)が書面中心に審査する制度です。電気事業法第51条に基づく使用前安全管理審査として義務づけられています。
誰が審査するか:2023年3月20日以降、登録安全管理審査機関が全設備の安全管理審査を実施(最終的には産業保安監督部が“評定”を出します)。
対象:需要設備(自家用電気工作物)の新設・変更で使用開始前に受審が必要。典型例は受電電圧10kV以上の需要設備の新設・変更など。
定期審査との違い:定期安全管理審査は主に発電設備(火力・風力等)が対象で、需要設備は“使用前”が主。
手続きの全体フロー(需要設備)
①・工事計画の届出(需要設備) ※基礎工事の一ヶ月前
②・施工
③・使用前自主検査の実施(記録・保存が義務)
④・使用前安全管理審査の申請・受審(登録機関へ)
⑤・登録機関が審査(書面中心)→ 産業保安監督部が評定 → 設置者へ通知
(※自主検査後、概ね1か月以内に受審する運用解説が一般向け資料でも示されています。)
審査で見られる主なポイント(“体制・方法・記録”の3本柱)
登録機関は、国の示す審査基準・実施要領に沿って、以下を中心にチェックします。
A. 体制(組織・責任・資格)
自主検査を実施できる組織体制(役割分担、責任者の明確化)
電気主任技術者の選任(または保安管理業務外部委託)など法令適合性
B. 方法(手順・基準・使用機材)
自主検査の手順書や合否判定基準の整備・周知
使用する測定器の管理(校正・有効期限)、試験方法の妥当性
C. 記録(結果・是正・図書)
絶縁・耐圧・保護リレー試験等の試験成績書
整定計算(保護協調)・単線結線図・系統図、接地抵抗記録など設計・試験図書の整備
不適合の是正記録(再試験を含む)と、記録の保存体制
申請に必要な主な書類(例)
使用前安全管理審査申請書(様式第52の2)
使用前自主検査の実施体制の説明(体制図・手順書 など)
工事計画の届出関係資料(単線結線図、機器一覧 等)
試験記録一式(絶縁・耐圧、リレー・機能、接地、インターロック など)
整定・協調計算書、設定表
※ 様式・提出先・内規は各産業保安監督部サイトや登録機関の手引きを必ず参照。
実務での“つまずきやすい点”と対策
・保護協調の根拠不足
整定値の出典(負荷特性、短絡容量、上位系統条件)を計算書で裏づけ。整定表は“最終版”が現場設定値と整合しているかダブルチェック。
・測定器の校正切れ・記録不足
校正証明の有効期限と試験当日の使用機材の紐づけを記録で示す。
・図書の不整合(図面・リスト・現場設定が噛み合わない)
単線図・盤内配線図・インターロック表・I/Oリスト・HMI設定を相互突合。更改履歴を管理。
・外部委託範囲の曖昧さ
保安管理業務の委託契約書の範囲、主任技術者の職務権限を明確化。
“検査の手順・判定基準”が口伝
手順書に**判定基準(OK/NGの閾値・条件)**を明記し、教育記録を残す。
・スケジュールの目安
自主検査完了 → おおむね1か月以内に受審が実務解説で案内されています。施工終盤で図書を凍結・照査し、試験と並行して審査日程を確保するとスムーズです。
参考になる一次情報・手引き
産業保安監督部(例:近畿経産局)「使用前安全管理審査」案内(法第51条の位置づけ)。
経済産業省「安全管理審査について」(登録機関制度・区分)。
使用前・定期安全管理審査 実施要領(内規)、様式ダウンロード(関東東北産保)。
登録機関の制度解説/申請の手引き(JAPEIC、SOMPOリスク等)。
まとめ(現場視点の要点)
需要設備は“使う前に”、体制・方法・記録が適切かを第三者が審査する(書面主導の制度)。
施工末期は図書の整合と整定根拠、測定器、教育記録に特に注意。
申請様式・要領は地域の産保サイトと登録機関手引きを必ず確認・準拠。



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