―向き・不向きより、役割の選び方を考える―
PLCという技術領域は、単にラダーを書くだけでは完結しない。現場の制御対象、装置の特性、電気・機械・シーケンス、さらには安全や品質管理、納期や立上げなど、極めて多面的な能力が要求される領域である。このため、一定の特性が求められ、その性質とミスマッチを起こしやすい人が存在することも事実である。
しかし重要なのは、「向いていない」=「技術者として価値が低い」という話では決してないということである。むしろ自分の方向性を知ることで、技術者として生きやすくなるという視点が大切だろう。
どうしたらPLC技術者になれるのか?
諸先輩の視点はどこで身につければ良いのかを解説していきます。
PLC技術者になりたいけどなれそうにない。けどなりたい。そんなあなたに書いています。
細かい確認作業や安全意識に価値を感じにくい人
PLCは動けばよいという考えでは成り立たない。誤動作は装置破損や人身事故に直結するため、地味な安全確認やI/Oチェック、試験項目の潰し込みを丁寧に積み重ねる姿勢が不可欠である。
- 少しぐらい動けばいい
- 現象を深く追わない
- 曖昧な状態でも出荷したくなる
- このような考え方とは本質的に相性が悪い職種である。
逆を言えば試験項目の外の事象も考え抜く癖さえつければいいのです。
このお客さんはどう使うだろう?
このレイアウトだったらこのボタンは押したくならないか?
誤操作はどんな時に起こるだろう?
ここまで考えると一気に腕が上がります。
「自分のロジックが正しい」と思い込みやすい人
PLCのプログラムは、自分が作った論理が常に正しいと考えるほど危険になる。現場条件は常に変化し、設備の癖も、センサの誤差も、作業者の運用も、多様に存在するためである。
- 他者レビューに抵抗を持つ
- 運転員の操作感覚を軽視する
- 他部門との仕様調整を疎ましく感じる
もしこうした傾向が強い場合、トラブル時に問題を外部要因へ押し付けやすくなる。
他者のレビューを受け付けようとしない人間はある意味PLC技術者としても、上位PC技術者としても打ち止め状態だと思います。
謙虚さと協調をなくした先に成長はありえません。
現場の泥臭さを受け止めにくい人
PLCという仕事の本質は、机上と現場の往復である。調整、立上げ、一次側試験、現地調査、制御盤の配線確認など、泥臭い業務が必ず伴う。
- 現場対応が苦手
- 体力的な負担を嫌う
- 客先や設備担当とのコミュニケーションに抵抗がある
これらが大きなストレスになる場合、PLC以外の技術領域の方が活躍しやすい。
これも所詮は慣れです。恐れず挑んでください。
未知の装置や仕様変更にストレスを感じやすい人
PLC技術者は常に変化への対応を求められる。
- 設備ごとの癖
- 製品仕様の追加要求
- トラブル対応
- 運転条件変更
こうした“いつも想定外が起きる”状況を楽しめない場合、精神的負担が大きくなりやすい。
しかし重要なのは「向き・不向き」は変わるという事実
実際、PLCを10年以上扱う技術者でも、最初から適性が高かったとは限らない。むしろ経験を通じて
- 潰し込みの重要性
- トラブル対応力
- 安全意識
- 他部門連携
これらを後天的に獲得していくケースが圧倒的に多い。
つまり、向いているかどうかは、最初の資質ではなく、仕事の進め方と学び方で決まっていく領域である。
向いていないと感じた時に選べるキャリアの方向性
もし「自分は向かないかもしれない」と感じる場合でも、方向性はいくつも存在する。
●上位の設計へ進む
- システム設計
- 装置設計
- 制御仕様設計
●保全・設備管理側へ進む
実機理解が強みになる領域
●デジタル側(IoT・データ・DX)へ展開する
最近はPLC+DX人材の価値は極めて高い
●プロジェクト・マネジメントへ
調整力こそ最大の武器になる
“PLCが合わない=キャリアが閉じる”ということではなく、むしろ選択肢が広がる場合すらある。
PLC屋はその性格上から調整屋になりがちで、その感性が身につきやすい。
結論:PLCは「向いている人」ではなく「成長し続ける人」が残る世界である
PLCは単にスキルの問題ではなく、人間としての姿勢が問われる技術である。
安全を重視し、地道に改善し、現場と向き合い続ける姿勢を持てるなら、誰でも専門家へ到達できる。
そして、若手にもアラサーにもアラフォーにも伝えたいことがある。
PLCは“天才しかできない世界”ではない。
安全と誠実さを積み上げていける人にこそ価値がある。
もし自信がないと感じても、焦らない方がいい。
PLCの世界は、努力と経験が必ずあなたの味方になる領域である。



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