PLC技術者の「腕の良し悪し」は世界的に見て確かに傾向差があり、日本のPLC技術者は総合力では世界トップクラスです。
ただし同時に、分野によってはガラパゴス化している側面も否定できない、というのが実態に近い評価だと思います。
「PLC技術者の腕」とは何で決まるのか
まず前提として、PLC技術者の腕は単純なラダーが書ける・書けないでは測れません。実務で評価される要素は、概ね次の複合体です。
- 装置全体を理解する力(機械・電気・安全・工程)
- 異常時の切り分け力・復旧力
- 現場条件に合わせた実装力(癖のある設備、老朽化、応急対応)
- 後工程を考えた設計思想(保全性・拡張性)
- 責任感と止めない姿勢
この「総合力」を前提に話を進めます。
日本のPLC技術者は世界的に見て優秀か?
結論から言うと「現場対応力」においては世界最高峰
日本のPLC技術者の最大の強みは、止められない現場を前提とした設計・対応力です。
- 24時間連続稼働
- 短時間停止すら許されないライン
- 老朽設備と最新設備の混在
- 図面が不完全、履歴が残っていない設備
こうした環境で鍛えられた日本のPLC技術者は、
「仕様が曖昧でも、現物を見て動かす」
「トラブルが起きても、その場で止血できる」
という現場職人的な強さを持っています。
これは欧米の「仕様重視・契約重視」の文化では、なかなか育ちにくい能力です。
海外(欧米・中国・新興国)PLC技術者の特徴
欧米(ドイツ・北欧・アメリカ)
強み
- 設計思想が非常に美しい
- 規格(IEC・ISO・Safety)の理解が深い
- ドキュメント文化が徹底
弱み
- 仕様外の対応が遅い
- 現場の泥臭い修正を嫌う傾向
- → 「止めない現場」より「正しい設計」を重視
中国・東南アジア
強み
- 立ち上げスピードが速い
- IT・ネットワークとの親和性が高い
- コスト感覚が鋭い
弱み
- 長期安定運転の思想が弱い
- 保全・寿命設計が軽視されがち
→ 短期成果型、長期運用はやや弱い
日本はガラパゴス化しているのか?
結論:半分YES、半分NO
ガラパゴス化している点
- メーカー独自仕様への依存(特定PLCベンダー)
- 暗黙知・属人化したノウハウ
- 「現場で何とかする」文化が強すぎる
- これは再現性・国際展開の面では弱点です。
ガラパゴス化していない点(むしろ強み)
- IEC規格・安全規格への適応力は高い
- PLC+装置+運用まで含めた総合設計
- 保全目線のプログラム構成
つまり、
思想はローカル、レベルはグローバル
という状態です。
日本のPLC技術者は「世界で通用するのか?」
答え:条件付きで大いに通用する
日本のPLC技術者が世界で無双する条件は明確です。
- 装置全体を理解できる
- 電気・機械・安全を横断できる
- トラブル対応を言語化できる
IEC・EtherNet/IP・PROFINETなどを学ぶ意欲がある
これができる人は、海外では
「異常に現場がわかるエンジニア」
として高く評価されます。
若手・アラサー・アラフォーPLC技術者へのメッセージ
PLC技術者という職種は、
- 時代遅れでもない
- ローカル専用職でもない
- 将来性のない職種でもない
むしろ、
現場×IT×安全×工程を理解する希少職
です。
日本で鍛えられたPLC技術者は、
自信を持っていいし、視野を広げれば世界でも通用する。
必要なのは「辞めること」ではなく、
- 規格を学ぶ
- 他メーカーに触れる
- 自分のやっていることを言語化する(設計資料はデジタルとして残す)
この一歩だけです。
まとめ
日本のPLC技術者は現場対応力で世界トップクラス
設計思想や規格面では欧米が強い
日本は部分的にガラパゴスだが、レベルは低くない
学び直せば世界で十分戦える
PLC技術者であることは、
狭い世界に閉じこもることではなく、可能性を持つことです。



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