押切蓮介『ハイスコアガール』──“目的”を持った瞬間、人は強くなる。技術者にも当てはまる成長の公式

押切蓮介の代表作『ハイスコアガール』は、ただのゲーム漫画ではありません。

90年代アーケード文化へのリスペクトを軸にしながら、主人公・矢口春雄(ハルオ)が「目的を持った瞬間、人はここまで変わるのか」という成長物語を正面から描いた作品です。

特に印象的なのが、中学生後半〜高校受験にかけてのハルオの“覚醒”。

ゲームに人生すべてを注ぎ込む少年が、人生初の本気を見せる——その理由は単純ですが、読者の胸を刺す強さがあります。

そしてこの「目的を持った瞬間に、努力が努力でなくなる現象」は、技術者のキャリアにもそのまま適用できます。

本稿では、作品の魅力とともに、「ハルオの成長=技術者の成長」というテーマで考察します。

ハルオは“目的”を得た瞬間、化けた少年である

『ハイスコアガール』前半のハルオは、ゲーセン以外ほとんど興味がありません。

勉強は当然苦手、将来も考えない。

しかし、物語が進むにつれ、大野との関係、日高とのライバル関係、自分なりのプライドと向き合い、「大切な人に胸を張れる自分になりたい」という目標を手に入れます。

この瞬間から、ハルオは変わります。

勉強を“苦行”ではなく“目的のための手段”と捉える

ゲームの勝敗より、人の気持ちを理解しようとする

他人のために努力できるようになる

何かに挑戦することを楽しめるようになる

特に高校受験に向けた“猛勉強編”は、読者の多くが胸を打たれたパートです。

彼は天才ではありません。

むしろ不器用で、地頭が特別いいわけでもない。

それでも、「目的を持つと、人はここまで動けるのか」と感じさせる圧倒的なエネルギーを見せます。

その努力の結果は見てのお楽しみです。

技術者も“目的・理念・哲学”ができた瞬間に化ける

技術者の世界でも、同じ現象が起きます。

●ただ仕事をこなすだけでは「作業員」で終わる

仕様書を読み、PLCを書き、受変電図面を描き、現場で機器を扱う。

それだけなら、ただのルーチンワークです。

●しかし、目的ができると“プロフェッショナル”に変わる

  • なぜこのシステムを設計するのか
  • なぜこの制御思想が必要なのか
  • どうすれば事故率が下がるか、保全が楽になるか
  • どうすれば電気主任技術者が現場で助かるか
  • どうすれば現場の後輩が楽になるか
  • 自分はどんな技術者になりたいのか

こうした“哲学”を持った瞬間、仕事に「意味」が宿るため、努力が努力のままではなくなる のです。

◆目的を持った技術者が強いのは、以下の理由がある

  • 勉強が苦ではなくなる
  • ハルオが勉強に火がついたように、技術者も目的を持つと、
  • 電験・通信・保護協調・施工・法規などの勉強が加速度的に進む。
  • 現場の問題点に自発的に気づく
  • “何のために技術を使うか”を理解することで、現場の痛点が自然と見える。
  • 成果が他人に伝わりやすくなる
  • 哲学がある技術者は、説明するときの言葉が強い。
  • 周囲が協力してくれる
  • 目的を語れる人には、自然と仲間が集まる。

これは漫画の演出ではなく、実際の技術者人生でも起こる“現実の成長パターン”です。

ハルオの努力は「他者のための努力」

ハルオが受験勉強に本気を出せた最大の理由は、大切な人に、胸を張って会いたいから

という極めてシンプルな“他者への想い”でした。

技術者の世界も同じです。

  • 安全に運転してほしい
  • 現場の事故を減らしたい
  • 後輩に正しい知識を残したい
  • 上位システムの人が使いやすいようにしたい
  • お客様が安心して使える設備にしたい

こうした「自分以外の誰かのため」という軸を持つと、勉強や仕事の視点がガラッと変わります。

結局、人は“誰かのため”だと本気になれる。

仕事でこれ(意味)が達成できた時凄まじいアドレナリンが出ます。

ハルオの受験編は、その普遍的な真理を教えてくれる章です。

ハイスコアガールが技術者に教えてくれること

ハイスコアガールは、ゲームという“好き”を通して、人が目的を見つけ、成長し、人生を組み立てていく姿を描いた青春漫画です。

技術者の人生も同じで、「なりたい自分像」「仕事への哲学」「守りたい誰か」「成し遂げたい価値」を持った瞬間に、強く優しく成長していきます。

ハルオの物語は、技術者にこう語りかけているように思えます。

目的を持て。

それだけで人生は“面白いゲーム”になる。

技術の世界は広く、深く、難しい。

しかし目的を持った技術者にとって、それらはすべて“楽しい攻略対象”になります。

まとめ:目的ができた瞬間、努力は努力でなくなる

『ハイスコアガール』は、ゲームと恋と成長の物語であると同時に、

**「目的が人を変える」**という普遍的なテーマを持つ作品です。

技術者にとっても、

  • 何のために技術を磨くのか
  • どんな技術者になりたいのか
  • どんな価値を世の中に残したいのか
  • という問いが人生の方向を決めます。

ハルオの“受験編”は、目的を持った人間の強さ を思い出させてくれる名エピソードです。

技術者として迷ったとき、『ハイスコアガール』を読み返すと、自分の“目的”の原点に戻るヒントが見つかるはずです。

ハルオのお母さんが作ったホットケーキが食べたい。

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