非常用発電設備や現場工事、屋外イベントなどでよく聞く「発動発電機(はつどうはつでんき)」。
電気主任技術者や電気工事に携わる人であれば、一度は耳にしたことがある名称ですが、明確に説明しようとすると意外と難しい用語です。
本記事では 発動発電機とは何か、どんな仕組みで動くのか、どこで使われるのか を、現場経験者の視点も含めつつ、ブログ向けに丁寧に解説します。
発動発電機とは?
発動発電機とは、エンジン(内燃機関)の回転力によって発電機を駆動し、電気を作り出す機械の総称です。
「発動」=エンジンを始動させること
「発電機」=交流または直流の電気を作る装置
つまり、エンジン付きの発電機を指します。
ガソリン・ディーゼル・LPガスなど、燃料を燃やすタイプの “自立型電源設備” と考えるとわかりやすいでしょう。
一般には「エンジン発電機」「可搬式発電機」「小型発電機」と呼ばれることも多いですが、仕様書や官公庁文書では“発動発電機”という正式名称がよく使われます。
発動発電機の構成
主な構成要素は次のとおりです。
エンジン(ガソリン・ディーゼル)
交流発電機(オルタネータ)
燃料タンク
制御盤(出力ブレーカ、周波数計、電圧計など)
防音カバー(サイレントタイプ)
車輪付きフレーム(可搬型の場合)
エンジンで回転力を作り、その力を発電機に伝えて電力に変換するというシンプルな仕組みです。
発動発電機の特徴
● 1. 電力網に依存せず、どこでも電気が作れる
停電時や未電化エリアでも電源を確保できるため、緊急用電源として非常に重要です。
● 2. 始動が早い
規模によりますが、手動式の場合は数分以内、セルスタータ式なら数秒で電気が供給できます。
● 3. 出力は幅広い
- 1kVA クラスの軽量可搬型
- 10〜50kVA の小型建設機械用
- 100kVA〜500kVA の中型非常用
- 1,000kVA 以上の大型ディーゼル発電機(ビル・病院・データセンター向け)
まで、用途に応じてラインナップがあります。
● 4. 保守が必要
エンジン付きのため、
- 燃料の劣化
- バッテリー劣化
- 冷却水・オイルの交換
月次運転
などが必要で、非常用発電機に比べると保守頻度が高い点は注意です。
発動発電機の用途
発動発電機は想像以上に幅広い場面で使用されています。
電気主任技術者が関わる現場でも頻繁に登場します。
● 1. 工事現場(建設・電気工事)
電柱工事、道路工事、舗装作業、キュービクル更新工事など、仮設電源として最も一般的。
● 2. 非常用・災害時電源
台風・地震などで商用電源が停止したとき、
自治体の避難所
病院の簡易支援
企業のBCP対応
で利用されます。
● 3. イベント・フェス・屋台
照明、音響、冷蔵機器などの電源として。
● 4. 電気設備の試験
遮断器の投入試験
試験器の電源
仮設受電前の確認作業
特に 停電作業中に工具・測定器を動かす用途 でよく使われます。
発動発電機と非常用発電機の違い
同じくエンジン+発電機ですが、明確な違いがあります。
発動発電機:仮設・移動用:可搬型が多い:法令はほぼ任意(消防対象外が多い)
非常用発電機:建物の非常用電源(法令対象):定置式:法令は消防・建築基準法の対象
発動発電機の出力は小〜中型
非常用発電機の出力は中〜大型
運転に関しては発動発電機は手動開始が多い
非常用発電機は自動始動(ATS連動)
特にビル・工場・データセンターでは「非常用発電設備(消防対象)」が主役であり、発動発電機は補助的ポジションという位置付けです。
電気主任技術者として知っておくべきポイント
現場でトラブルを避けるために、次は重要です。
● 1. 中性線(N)の取り扱い
可搬式発電機では “浮遊中性点” になっている場合が多く、
接地の取り方を現場に合わせて考える必要があります。
● 2. 電圧・周波数の変動
負荷変動が大きいと電圧・周波数が不安定になるため、
精密機器・UPSの一次側には向きません。
● 3. 負荷容量計算
モーター負荷(空調、ポンプ)は始動電流が大きく、
小型発電機だと起動できないケースが多いです。
● 4. 排気・騒音問題
屋内や密集地域では排気中毒や騒音クレームのリスクがあるため、
設置位置は要注意。
まとめ:発動発電機は「現場の相棒」だが、正しく理解して安全に使うことが重要
発動発電機は、工事現場や災害時に欠かせない “どこでも電気を作れる移動式電源” です。
エンジン+発電機で独立電源を供給できる
工事現場・イベント・非常時に大活躍
ただし周波数・電圧変動や中性点接地、排気・騒音など注意点も多い
電気主任技術者にとっては、非常用発電機ほど形式的な法令対象ではないものの、
安全確保のための技術知識が強く要求される機器 と言えます。



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