SAS(Substation Automation System)のポイントリストを見ていると、Node / Data Object / CDC / Data Type / Attributeといった項目が並んでいます。
その中で Attribute(アトリビュート) は、「その信号の“中身をさらに細かく定義する最小単位」を表す、とても重要な概念です。
この記事では、Attributeとは何か。なぜSASポイントリストに必要なのか。実務でよく使うAttributeの例を、IEC 61850初心者の方にも分かるように解説します。
まず結論:Attributeとは何か
Attribute(アトリビュート) とは、1つの信号(Data Object)が持つ「値・状態・品質・時刻」などの要素を表します。
言い換えると、
- Node:どの機器・機能か
- Data Object:どんな信号か
- Attribute:その信号の「どの情報を使うか」
という役割分担になります。
階層構造で理解する Attribute の位置づけ
IEC 61850のデータモデルは、入れ子構造になっています。
Logical Node(論理ノード)
└ Data Object(信号の種類)
└ Attribute(信号の中身)
具体例(遮断器の開閉状態)は以下になります。
XCBR1.Pos.stVal
XCBR:遮断器の論理ノード
Pos:開閉位置というData Object
stVal:現在の状態値(Attribute)
👉 Attributeがないと「何の値なのか」が決まりません
なぜ Attribute が必要なのか
理由①:「値」だけでは足りないから
例えば遮断器の状態を考えてみます。
ON / OFF だけ知りたい?
その値は正常?
いつ更新された?
実際の運用では、値+αの情報 が必須です。
そこで Attribute が使われます。
理由②:スマートグリッド・遠隔監視を成立させるため
IEC 61850は「データを“意味付き”でやり取りする規格」です。
Attributeを使うことで、
- 通信品質の判定
- データの信頼性確認
- 事故解析・時系列解析
が可能になります。
SASポイントリストでよく出てくる代表的な Attribute
ここからは実務で頻出する Attribute を解説します。
stVal(state value)
- 現在の状態値
- ON / OFF
- 開 / 閉
- 正常 / 異常
- 最もよく使われる Attribute です。
XCBR1.Pos.stVal
👉 「遮断器は今どうなっているか」
q(quality)
- 品質情報(信頼できるかどうか)
- 通信断
- 無効値
- 代替値
- 試験モード
などをビット情報で持っています。
XCBR1.Pos.q
👉 「その値は信用していい?」
t(timestamp)
時刻情報
いつその値が更新されたか
事故時系列解析
イベント解析
に使われます。
XCBR1.Pos.t
👉 「いつ変わった?」
ctlVal(control value)
制御指令値
遮断器を開ける
投入する
など、制御系で使われる Attribute。
コードをコピーする
XCBR1.Pos.ctlVal
👉 「どう動かせと言っているか」
ctVal(counter value)
カウンタ値
開閉回数
動作回数
保全・寿命管理で重要です。
XCBR1.OpCnt.ctVal
SASポイントリストでの記載イメージ
実際のポイントリストでは、こんな並びになります。
Node→Data Object→CDC→Data Type→Attribute
XCBR→Pos→DPC→BOOLEAN→stVal
XCBR→Pos→DPC→Quality→q
XCBR→Pos→DPC→Timestamp→t
👉 「同じ信号でもAttribute違いで複数行になる」 のがポイントです。
まとめ
Attributeとは「信号の中身を定義する最小単位」
値・品質・時刻・制御などを区別するために不可欠
SASポイントリストでは 設計・試験・保全すべてに影響
IEC 61850の「意味を持った通信」を支える重要要素
SAS設計に慣れてくると、「NodeよりもAttribute設計のほうが難しい」と感じる場面も増えてきます。
だからこそ、Attributeを理解した人が、SAS設計を制すると言っても過言ではありません。



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