「メーカーの営業あるある」として、こんなタイプを見たことはないでしょうか。
顧客との関係構築をほとんどしない。現場に来ない。自社の売り物をよく知らない。技術的な話はできない。見積依頼や問い合わせメールを、そのまま社内に転送するだけ。
しかも顧客から得た情報を社内に共有しない。いわば「メール転送係」になってしまっている営業です。
では、こうした営業は将来、AIに取って代わられるのでしょうか?結論から言えば、「かなり高い確率で置き換えられる」と言わざるを得ません。
その仕事、すでにAIが得意な領域
「メールを受け取る」「内容を読む」「社内に転送する」「定型文で返事を書く」この一連の作業は、すでにAIが得意とする分野です。
メール内容の要約。重要事項の抽出。適切な部署への振り分け。定型回答の作成過去案件を参照した返信案の提示。これらは、今でも実用レベルに達しています。つまり
“情報を右から左へ流すだけの営業”は、AIの方が正確で速いという世界がすでに始まっています。人間が介在する意味が、どんどん薄れているのです。
「現場に来ない営業」は存在価値を失う
メーカー営業の本来の価値は、ここにあります。顧客の設備を見る。図面を見る。現場の癖や運用を知る。「この客は何に困っているか」を感じ取る。そして技術部門に翻訳して伝えるところが、
- 現場に来ない
- 図面も見ない
- 設備も知らない
- 仕様も分からない
となると、顧客の要求を「文章」だけで理解しようとします。しかし実際の現場では、書いてない制約に言語化されていない不安と担当者の温度感。そして組織の力関係。こういったものが、受注可否を左右します。これはメール文面だけでは絶対に分からない情報です。
それを拾いに行かない営業は、すでに“営業”ではなく単なる通信回線になっています。通信回線なら、人間である必要はありません。
「自社製品を知らない営業」は最もAIに近い存在
さらに厳しいのが、自社の売り物をよく知らない。技術的な質問に答えられない。仕様の意味が分からないという営業です。この状態は、ある意味で「AIと同じ立場」です。なぜなら、理解していないし、判断できない。ただメール転送するという点で、人間型のAIになってしまっているからです。
しかもAIは、知識を即座に引き出せる。忘れないし感情でブレない。更に24時間働けるという点で、このタイプの営業より優秀になる可能性が高い。つまり“製品を理解していない営業”ほど、AIに代替されやすい皮肉な存在なのです。
情報を共有しない営業は、組織の敵になる
もう一つ重要なのが、顧客からの情報を社内に共有しないという点です。これは単なる怠慢ではなく、組織にとっては非常に危険な行為です。設計が的外れになる。見積がズレる。トラブルの芽を見逃す。属人化が進む。後任が育たない。結果として、
「あの営業がいないと何も分からない」という状態になります。しかしそれは、「あの営業がいないと何も残っていない」という意味でもあります。
AIが台頭する時代に、情報を溜め込むだけの人間は、最も不要とされやすい存在です。
では、営業は本当にAIに奪われるのか?
ここで重要なのは、営業という職種そのものが奪われるわけではないという点です。奪われるのは、判断しないし現場を見ない。製品を知らない。翻訳しない。価値を生まない。こういう空洞化した営業です。
逆に、AIにできない営業はこうです。現場で相手の表情を見る。言葉にできない不安を察知する。社内技術者に「噛み砕いて」伝える。顧客の立場で仕様を組み替える。長期的な信頼関係を築く。これは交渉と感情と責任。そして関係性が絡むため、当面AIには代替できません。
つまり、「営業か、AIか」ではなく「どんな営業か」が問われる時代です。
メーカー営業の未来は二極化する
今後、メーカー営業はおそらく二極化します。
① AIに置き換えられる営業
- メール転送しかしない
- 製品を知らない
- 現場に来ない
- 社内外の翻訳をしない
→ 業務は自動化される
② 価値が上がる営業
- 現場を理解する
- 技術の言葉を話せる
- 顧客の文脈を読む
- 社内と顧客の橋渡しをする
→ AIを「道具」として使う側になる
まとめ
「メール転送営業」は、すでにAIに片足突っ込んでいます。「メールを転送するだけの営業」は、すでに仕事の中身が人間である必要のない領域に入りつつあります。それは未来の話ではなく、現在進行形の話です。もし営業が現場に来ない、製品を知らない、顧客と関係を作らない、情報を持ち帰らないのであれば、その営業は“AIに置き換えられる営業像”を自ら演じているとも言えます。
逆に言えば、「現場に行く」「自社の売り物を知る」「顧客と話す」「社内に翻訳して持ち帰る」という、当たり前のことをきちんとやっている営業は、むしろAI時代に価値が上がる存在になります。
AIが進化するほど、「人間である意味」が問われる。メーカー営業も、例外ではありません。


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