AWSのグローバルベンダー登録について

Amazon Web Services(以下 AWS)に設備を納入し、グローバルベンダー(サプライヤー/ベンダー)登録を進める際に押さえておきたい主なルール、観点、および注意点を整理します。

あまり触れることのない業務だったので、備忘録として残しておく

✅ 押さえておきたい主なルール・要件

以下は AWSおよびその親会社である Amazon.com, Inc.(以下 Amazon)が、サプライヤー/ベンダー登録や取引時に求めている主な要件です。

機材納入・設備構築分野であっても、サプライヤーリスク、品質保証、サプライチェーン管理、コンプライアンス、データ・セキュリティなどが注目されます。

1. サプライチェーン・サステナビリティ/労務・環境・倫理面

Amazonが公表している「Amazon Supply Chain Standards」では、サプライヤーが労働(Labor)、安全衛生(Health & Safety)、環境(Environment)、倫理(Ethics)の観点で一定の基準を満たすことを求めています。

sustainability.aboutamazon.com

具体的には、児童労働の禁止、強制労働の禁止、差別の禁止、安全衛生設備・作業環境の整備、適切な労働時間と賃金、環境法令の順守など。

sustainability.aboutamazon.com

サプライヤーは監査を受ける可能性があり、独立監査、アンナウンス監査なども含まれています。

sustainability.aboutamazon.com

機材・設備という「物理的な製造/施工」分野でも、これらの基準が適用され得ます(例:施工現場の安全管理、サブサプライヤー管理、環境処理、労働契約の適正化など)。

→ ポイント:設備納入ベンダーとして、製造・組立・納入・保守を含めたサプライチェーンを俯瞰し、労務・安全・環境・倫理・法令順守態勢を整えておくことが“グローバルベンダー申請時”の重要な評価軸となります。

2. 情報セキュリティ・サイバー/クラウド接続機器対応

AWS側が「Amazon Vendor Security Policy」を策定しており、サプライヤーが Amazon に情報を提供/アクセスする場合、明確な情報セキュリティ方針・ログ管理・アクセス制御・暗号化・インシデント対応計画などを整備する必要があります。

特に “クラウドサービス提供側” や “IoT/ネットワーク接続機器を含む設備” を納入するようなベンダーでは、機器からの通信、認証、ログ、アップデート管理、脆弱性管理といった要素が重視されるケースがあります。

→ ポイント:機材が単体機械設備であっても「管理/監視用ソフトウェア」「クラウド接続/通信機能」「データ収集・運用」があるなら、サイバー・セキュリティ要件を早期に整理・実装しておくと申請時・契約時で有利です。

3. 契約・法務・取引条件・地域対応

AWSの「Service Terms」「Customer Agreement」など、契約条項・利用条件が厳格に定められています。

さらに日本国内での取引・販売に関して、特に「日本消費税(JCT)」の扱いや取引スキーム(日本国内住所/国外住所売り手)に対するFAQが整備されています。

グローバル納入という観点では、契約主体(法人登記・所在地)、ITAR/輸出管理、関税・税制、ロジスティクス、現地サービス体制など、国際取引特有の条件を整理しておく必要があります。

→ ポイント:グローバルベンダー登録/取引を想定するなら、「どの国からどの国へ機材納入・設置・保守を行うか」「契約主体はどこか(本社・子会社)」「税・関税・輸出管理対応はどうか」等を社内で整理しておきましょう。

4. サプライヤー登録・オンボーディングプロセス

Amazon(およびAWS)が「サプライヤー登録/ベンダー登録」プロセスにおいて、先に挙げた要件(サステナビリティ/安全衛生/セキュリティ/契約条件)を確認・評価しています。例として、Amazon側が “Supplier Code of Conduct” を掲げ、サプライヤー契約にその遵守を義務付けていることが明記されています。

また、サプライヤーが製造する施設・工場を監査対象に指定しており、サブサプライヤーや下請けも含めた開示・管理を求められる場合があります。

納入設備・サービスベンダーの場合、機材製造元/組立元/設置サービス会社といった複数階層の関係を整理し、どこが主体かを明確にしておくことが望ましいでしょう。

→ ポイント:登録用に必要と想定される「登録フォーム記入」「企業概要/財務状況」「製造設備・サービス体制」「品質保証体制」「監査・改善計画」「サブサプライヤーの管理状況」などを事前に準備しておくと良いです。

🔍 特に設備・変電所機材納入ベンダーとして注意すべき観点

「IEC 61850 ベースのデジタル変電所」や「MU・BCU統合製品」などハード+通信+制御が絡むソリューションを扱われているという場合、以下の観点が追加で重要と考えます。

信頼性・機能安全・品質管理

 – デジタル変電所設備という特性上、機器・ソフトウェア・通信(GOOSE, SV, MMS等)・時刻同期・冗長化・保護制御といった高度品が多く、登録時にも「製品の品質保証体制」「試験・検証記録」「設置後メンテナンス体制」「サービスサポート体制」などを明示できると登録・取引契約で差別化できます。

 – また、グローバル展開時には各国の「電気設備法」「電気事業法」「保護継電器の認証」等の規制にも準拠している点を整理しておくと良いでしょう。

グローバル納入対応/ローカルサービスネットワーク

 – AWSを顧客とする場合、AWSが世界中にデータセンター(IDC)を展開しているため、納入先が複数国・地域、さらには米軍基地や防衛案件(米DoD)という場合も想定されます。これに対応するにはロジスティクス・輸出管理(ITAR/EAR等)・現地サービス拠点・保守部品供給体制を整理しておくことが有利です。

 – また、コミュニケーション(現地言語・英語)、保守契約・SLA、リモート監視対応など「サービスモデル」も整理しておくと登録の際に評価される可能性があります。

サイバー・セキュリティ/クラウド接続機能

 – 変電所機材が単純な機構制御機器にとどまらず、スマートサブステーション化・ネットワーク接続化・データ収集・クラウド連携を視野にするなら、前述の Vendor Security Policy の観点が非常に重要です。AWSがそのポリシーを公開しており、サプライヤーとして遵守が求められます。

 – 昨今重視されている「サイバー耐性」「OT/ICSのセキュリティ」「通信/暗号化」「ソフトウェアアップデート管理」「侵入検知・ログ監視」などをあらかじめ社内プロセスとして確立しておくことをお勧めします。

契約・納入条件・保守体制・リスク分担

 – AWS案件では、SLA・可用性・セキュリティ・データ保護・災害復旧・拠点冗長化などが重要です。納入ベンダーとして、それらをサポートできる契約条件・保守約款・保守部品在庫・定期点検計画を整備しておきましょう。

 – また、サプライヤー登録時/契約時に「品質不具合・納期遅延・現地設置トラブル」の責任範囲をどこまで取るか、保険・保証体系をどのように整備しているかを整理しておくと信用が高まります。

コメント