PLCに才能はいらない、必要なのはしつこさ

「PLCって、プログラムの才能がないと無理ですよね?」

よく言われる。

でも、私は断言できる。いらない。

必要なのは、しつこさと誠実さ、それにちょっとの下調べ力だけだ。

◆ 上流工程から下流工程までを歩いた

僕が最初に関わったのは、既に稼働中のファクトリーオートメーション設備だった。

仕様書は古く、設計担当者は退職済み。

誰もそのPLCプログラムを「理解していない」状態。

異常停止の原因すら誰も説明できなかった。いわば、黒魔術のような制御ロジック。

でも、私は諦めなかった。「分からない」を放置するのが嫌いだったし、何より「動いている理由」を知りたかった。

現場の電気配線をたどり、入出力点表を自作し、古いコメントなしのラダーを一行ずつ読み解いた。

上流(仕様構想・設計思想)から下流(現場調整・運転立上げ)まで、自分の足で往復した。

すると、次第に見えてくる。この一見カオスなラダーにも、設計者の哲学が宿っていることに。

どんなに複雑な制御も、誰かが「工場を止めないために」考え抜いた跡なのだ。

◆ 誠実さと根回し力が「解読」を可能にした

正直に言うと、プログラミングセンスなんて皆無だった。

タイマーの使い方も分からず、FOR、NEXTのインデックスレジスタの意味で頭を抱えた日もある。でも、誠実に質問し続けた。

保全部門に「この信号、本当に入ってます?」と尋ね、製造現場の班長に「このランプが点くのって、どんな時ですか?」と聞いた。

最初は怪訝そうに見られた。

でも、逃げずに、しつこく、丁寧に聞くうちに、少しずつ信頼されるようになった。

「そこまで調べてくれるなら、協力するよ」と。

現場では、説明力よりも、姿勢の誠実さが伝わる。

それがやがて根回し力になり、協力者が増え、最終的にはブラックボックスだったプログラムを完全にドキュメント化することができた。

◆ 「コミュ力がない」人ほど向いている理由

僕は決して話がうまいタイプではない。

会議では言葉が出ず、説明の途中で詰まることも多い。でも、不思議なことに、話しているうちに相手がこちらの意図を翻訳してくれる瞬間がある。

「つまり、こういうことが言いたいんだね?」

そう言ってもらえるたびに、思う。コミュ力って、こちらの一方通行ではない。誠実に向き合えば、相手も歩み寄ってくれる。説明力なんて、後からでもどうにでもなる。

PLCの世界も同じだ。

最初から全部理解できる人なんていない。けれど、逃げずに一つひとつ動作を追えば、やがて「線」が見えてくる。

◆ 才能よりもしつこさを

ファクトリーオートメーションの現場で必要なのは、天才的な発想ではない。

動かないときに原因を掴むためのしつこさ。他人のロジックを尊敬しながら、自分の理解を積み上げていく誠実さ。

それに、「何としても動かす」という執念。

この三つがあれば、PLCエンジニアとしては十分やっていける。むしろ、才能に頼らない人の方が、現場で長く強い。私自身、コミュ力もセンスもないと悩んできた。

でも気づけば、何台もの生産ラインを動かすプログラムを解読し、仕様書を作り直し、次の世代に伝えられるようになっていた。

結論はシンプルだ。

才能はいらない。必要なのは、しつこさだ。

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