製造業・FAの世界では「PLCを理解していること」が一種の専門スキルとして崇拝されがちである。確かにPLCエンジニアは貴重であり、現場では“必須スキル”として扱われる。しかし、だからといって「辞めてはいけない」「辞めたら終わり」という発想は、あまりにも視野が狭いと言わざるを得ない。むしろ、PLC経験は他領域へ移行するための強固な基礎になり、次のキャリアを切り拓く土台となる。
本稿では、PLC技術者が辞める=逃げではなく、次の可能性を試す前向きな選択になる理由を考えてみたい。
PLCが少しわかるだけで “頭一つ抜けた営業マン” になれる
FA装置や工場設備の営業現場では、制御の仕組みを理解している営業担当は圧倒的に少ない。よって、PLCエンジニア出身であれば…
- I/O点数の感覚
- センサー・アクチュエータの種類
- ラダー設計の苦労
- トラブルの種類
こうした“技術者なら当然”と思っていた知識が、営業の場ではまさに武器になる。
顧客課題の理解スピードが速くなり、提案の精度が極めて高くなるからだ。
実際、多くのメーカー・FA商社では、
「技術がわかる営業が最強」 という評価が定着している。
FAの感性が身についているという価値
PLCを扱ってきた方なら、FAの空気感が体に染み込んでいる。
- 生産ラインは止められない
- 設備は長く使われる
- 職人技とデジタルの共存
- 安全が最優先
この感性は、同業種であれ異業種であれ、工場設備に関わる業務全般で強力な価値を持つ。
マネジメントやコンサル、製造技術、品質保証など、“FAの文脈”を理解した人材は非常に珍しく、どの領域でも重宝される。
見積もり精度が高い=どこでも通用するビジネススキル
見積もりという行為は、単なる数字遊びではない。
PLC関連の省配線、ケーブル長、I/O増設、制御盤開口、納入場所、立会い、教育…
こうした要素を見積もりに落とし込める経験は、営業でも、購買でも、プロマネでも、極めて有効だ。
見積もり精度が高い人材は、どの企業でも即戦力になる。
現場を知っているから物怖じしない
PLC技術者は「現場で手を動かす経験」を必ず持っている。
- 夜中の立会い
- 起動調整
- デバッグ
- 事故対応
- トラブルシュート
経験した人ならわかるが、この経験は圧倒的な自信になる。
営業でも企画でも、現場を知らない人と話す時の説得力が全く違う。
「辞める」ではなく「次の可能性を試す」
PLC技術者を辞めるということは、「技術を捨てる」ことではない。
むしろ、
- 経験を別分野へ展開する
- 視野を広げる
- 新しい市場で戦う
という前向きな挑戦だ。
PLC経験は、あなたの中から消えることはない。むしろ今後の人生で「隠れたスキル」として輝く瞬間が必ず来る。
PLC経験は、別のステージで武器になる
最後に、もっと率直に言えば、
PLC技術者経験=製造業の基礎能力の塊
である。
設備、制御、安全、現場、調整、電気、機械、人、納期――これほど複雑な領域を横断してきた経験は、簡単になくなるものではない。
もし今、PLCを辞めようか迷っているのであれば、「辞める」のではなく
**「次の可能性を試す」**と考えていただきたい。
あなたが培ってきたものは、必ずどこかで活きる。
安心して次へ進んでほしい。あなたはすでに、十分強い技術者なのだから。


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