1年ほど前の記事
1年ほど前に電気CAD導入を失敗した記事を書きました。今になって読み返してみると、もう少しその時に知った知識とか、CAD設計者の現場事情も書いてほうが良いと考え今回書き連ねようと思います。
導入検討にあたって片手間で色々なCADを調べて、その業界の知識には少し詳しくなりました。それにあの頃と違って、お絵描きCADで電気回路設計せざる得ない若い世代が主力になってくる頃ですので、備忘録としても書いておきます。
少しばかり電気CAD界隈のこと詳しくなったので少し記事にしたいと思います。
話がそれますが今の世の中2DCADで設計してると、ディスられる世の中になってきました。好きで2DCAD使ってる人はいないと思うので、導入できる業態であれば導入検討に挑戦してもよいかと。
CAD含め世の中の開発環境は凄まじい速さで進歩しています。
今の時代はオンラインやYoutubeで情報収集できます。
是非最新の技術に触れてください。
世の中の機械設計は明らかに3DCADに移行しています。今までの設計資産もあるからと二の足を踏んでる職場でしたが、製造業の開発環境は凄い先を進んでいます。属人化の排除もできるみたいです。
電気CAD導入失敗したときと導入成功した時(特に何もしてない)の記事は以下に書いています。
良ければどうぞ。
DWGデータと互換性のあるCAD
当初はAUTODESK製のAutoCADを使って設計していました。AutoCAD(DWG)データと互換性のあるCADは結構沢山あります。それに加え互換性のあるCADは比較的廉価な場合が多いです。
電気CADの導入とは別に互換CAD導入でコスト削減とかも検討してました。以下が互換CADです。
ただ並べるだけだと芸がないので、HP記載のライセンス料も記載しておきます。
(金額はあくまで参考程度 無印AutoCADかLT相当品の価格を記載)
互換CAD業界で一番有名なのがBricscadかと思います。これのライセンス販売と保守をしている会社がアルファテックという会社で、数年前に図研と合併しました。(今は図研アルファテック)他の互換CADは知りませんが、AutoCADと操作感が近かったです。操作方法そのものは特に習わずに描くことができました。
私のいた部署は電気設計をする部署だったのですが、機械設計部門と共通でAutoCADメカニカル使う謎仕様でした。機械設計部門が使っている図面管理システムに合せるため、なぜかメカニカルを使わされていました。多分電気CAD導入しないで互換CADにするだけで大幅コストダウンできたと思います。
なぜそれをしなかった。おじいちゃんたち・・・・
図面間連結機能がない安価版電気CAD BJ-Electrical
電気CADというと一般的に図面間連結機能のクロスリファレンスでコイルの飛び先の記入や、端子配列図の自動作図などがあります。
この図研アルファテック製のBJ-Electricalは、その図面連結機能を省いた電気CADです。図研アルファテックも積極的に販売しようといないのか、youtubeにデモ動画は皆無でした。
一般の方のデモ動画がありましたので参考に。
図面連結機能が無いのに採用する意味あんの?
っておじさんたちに言われましたが、狙いは電気CADへのスムーズな移行のための提案でした。図面間連結機能を用いるためにはそれなりに準備が必要です。準備してたら日が暮れて納期が守れなくなります。何の準備が必要かというと以下のようになります。
お絵描きCADの延長線上で電気CADを考えている人が多く、この概念を理解してくれない層には準備が必要ということすら理解してもらえませんでした。
デフォルトでいろんなメーカの部品が揃ってるんでしょ。
リレーとかPLCとか
だからそれが使えるもの無いんだって・・・・
何回言えばわかるの・・・・
スムーズな移行にはうってつけだと考えての提案でしたが、図面間連結機能が無いので、却下されました。既存の業態と同じで、しかも図面管理システムに干渉無く導入できるんならいけんじゃね?って考えはついぞ理解してもらえませんでした。
新しいCADを導入するときの障害は大きく3つだと思います。
上3つが特に上がらないのであれば結構すんなり行くかと思います。
まあ私の職場は通常業務もしながら、CADの開発環境も作れと言う鬼のような職場でした。マンパワー的にも(待遇的にも精神的にも)無理ゲーでした。ああ辛かった。冗談抜きで下のようなこと言われました。未だにトラウマです。
操作感がAutoCADに近いACAD-DENKI
採用直前まで行ったのがこれ。ACAD-DENKI
図研アルファテックが販売している電気CADです。ベースになっているのが互換CADのBricscadなので操作感がAutoCADに非常に近いです。図面間連結の操作も比較的使いやすかったです。
図研アルファテックという日本の会社が保守サポートを行っているためか、サポート体制はしっかりしているイメージでした。各種機能の操作も日本人の感覚に近く、直感的に作ってくれていました。
DWGベースのCADというのも一つのメリットでした。基本的に今までの設計資産がつかなくなる場合は色々と反発があるのですが、DWGベースということもあり特に反対意見は出ませんでした。
AutoCADから電気CADに移行したい場合は、DWGベースの過去資産の活用もできるので現場サイドの負担は少ないかと思います。
結局導入はできなかったんですけどね・・・・
そこら辺はここに書いてます。プロジェクト管理システムと図面管理システムで勝負は決まります。
DWGベースのCADしか対応していないシステムで、改造できないということとマンパワー的な問題で結局導入失敗しました。
こちらの方は簡単なデモがありました。参考に。
Autodesk社製の電気CAD AutoCAD Electrical
Autodeskにも電気CADがあり、それがAutoCAD Electricalです。
一見Autodesk製品だから使いやすいと思われがちですが、これが大変な間違いでした。
本当に使いづらい。
マニュアルらしいマニュアルが存在しない。
用意されている部品マスタがことごとく使えない。
使えないのに種類が豊富だから、幹部職連中は使えるものと勘違いする。
Autodesk師品だから使いやすいんでしょって先入観が(幹部職連中に)ある。
一時期強制的にライセンス大量購入させられていましたが、誰一人使いませんでした。
サポート体制も微妙で日本で売る気が無いのがビンビンに伝わってきました。
もう二度と触りたくない・・・・・
海外ではそこそこ普及しているらしく、検索すると結構な数の動画が出てきます。
あくまで海外のものですが。
図研 E3
図研とはCAD・EDAベンダーの会社で、E3とは電気制御や電装図面その他ケーブル、ハーネス設計のための統合電気 CADをいいます。盤の筐体設計のCAD機能は無いので、外形図は書けません。
(書けないわけではい。作図機能が筐体設計を想定していないため、描くのがすごく難しい)
図研の特徴としてしっかりヒアリングした上でデモを行います。
既存のDWGデータと互換がなく、プロジェクト単位での図面編集というAutoCADを使っている人間からしたら少し毛色が違うCADでした。
立ち上げまでのサポートが費用相応に手厚く使ってみたかったのですが、既存のシステムと相容れないとか反対勢力がものすごかったので断念となりました。
これを導入する場合は立ち上げにそこそこリソースを割く必要がありそうでした。
それと価格が高い(あくまで無印AutoCADに比べて)
HP記載の価格が325,000円 ~ 2,283,000円です。
導入費用が比較的高く盤外形図は別CADで描く必要があったため、設計からは受け入れられませんでした。他のCADソフトも充実している図研なんで、使ってみたかったんですけどね。
薄利多売の機械を作るメーカにいる自分はとりあえず高価なCADとは縁がありませんでした。
価格競争力のある商品を作れるメーカーが、品質と性能アップにCADに注力できるのでは?と電気CAD導入に関わって感じていました。
調べながらオレの会社(部署は)は電気CADとか使える器じゃねえなとも思っていました。
世の中の設計ツール事情は爆速で進化している
とまあ半分愚痴まみれで書いていきましたが、世の中の設計ツール事情は爆速で進化しています。
既存の設計資産があるから移行できないとかは、言い訳でしか無いと私は思っています。
プロジェクト管理システムとの兼ね合いもあるため、一設計者が設計ツールを選定するのは大変です。しかし調べないとわからないし、世の中は自分の会社の開発環境に合わせてくれません。
気づいたら今の商品しか作れない
今のお客さんのリプレイスしかできない
同じお客さんしか同じものを売れない(事業が拡大しない)
技術者として年々陳腐化していく
知らず知らずのうちに上記のような状況に陥っていきます。
ググったりビッグサイトに行ったり世の中の設計ツールの進化をたまにでも良いので、調べることをおすすめします。見るだけ聞くだけでも刺激になり日々の仕事の発奮材料になります。
冗談抜きで忙しいかもしれませんが、世の中の最新設計事情を知るのは
凄い勉強になります。ぜひググったりビッグサイトに足を運んでください。
ビッグサイトのイベントは綺麗な人沢山いるしね!
否定はせんよ。
新しいものを使おうとすると、先達から色々言われるかと思います。謙虚になるのは大事ですが、その言葉の意図が親切心からなのか、老婆心からなのか、自己満足なのかは相手を見て見極めてください。
それではご安全に。
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