バーコードリーダの「全方向読み」とは

バーコードリーダの「全方向読み」とは

バーコードリーダの「全方向読み」とは、どの印字方向のバーコードが来ても読めるようにした仕組みのことをいう。全方向読みは現在の、バーコードリーダの読み取り方式の主流になっている「部分読みの合成」が可能にした読み取り方式である。部分読みの合成と全方向読みについて説明する。

部分読みの合成とは

従来のバーコードリーダは、すべての印字を読んで印字内容を認識していた。現在の物流装置や搬送機械に用いられている装置は、印字のスタートもしくはストップを認識する。レーザが走査している部分を認識しながら演算していく。最終的にインゾーンで結果を出して上位に送信する。

バーコードリーダはレーザがシンボルをスキャンした際に一旦メモリに格納する。をこの方式が可能なため印字方向に左右されない読み取りができる。

全方向読みの読み取り方法

全方向読みは、上で紹介した方法を2個使用したもの。一つのレーザに90°直角のクロスのビームを出力する。片方が読めなくても片方が読めるようになる。

バーコードの位置と印字方向が決まっている場合はラダー読みで対応できるが、印字位置と方向がバラバラな場合にこの方式が威力を発揮する。

上のgifに示すように片方のレーザが読み取り不能な印字方向でも片方が読む。

そのため全方向読みと言われている。

参考までにFA機器メーカーであるジックのバーコードリーダの動画をどうぞ。部分読みの合成のデモをしておりイメージしやすいと思います。動画ではバーコードの印字方向に対して袈裟斬りにレーザ照射しています。部分読みの合成を実際にしておりこれをかけ合わせて(バッテン☓にして)全方向読みを実現させます。

全方向読みのデメリット

どの印字方向でも読み取りが可能な全方向読みだが、デメリットも存在する。

印字に欠けやカスレがあったり、フィルムから発される光(ハレーション)で読み取りが阻害される場合読み取り率が落ちるケースがある。(ワークの形状によってはラダー読みのほうが良い場合がある)

下に一例を示す

全方向読みでなければ成立しないシステムもあるため、読み取り率向上のために様々な対策が必要になる。印字の改善やデコード一致回数の変更、打鍵盤でバーコード内容の直接入力などで対策する必要がある。

カメラ式バーコードリーダの台頭

現在は画像認識の技術とCPUの演算能力の向上によって、カメラ式バーコードリーダが本格的に採用されている。物流用途でも実績のあるカメラ式バーコードリーダが多数ラインナップしている。ハレーションに強いなどの特徴もあり、現在は物流用途での台頭が顕著になってきている。

キーエンスのSR5000はすでに多くの物流センターでの実績がある

印字機械(ラベラー)のカスレが解消できない場合は、読み取り性能が改善できないケースが考えられる。その時はレーザー式ではなくカメラ式で提案を検討する必要がある。

補足_バーコードリーダの読み取り阻害する要因

レーザータイプのバーコードリーダは、照射したレーザの反射を受光して印字内容を認識していく。これが強すぎたり、フィルムなどで正反射が発生すると、正確な値を読めなくなる。読み取り角度が直角の場合は正反射が起こるので読み取りができない。(バーコードリーダーによっては偏光フィルタを装備しているものもあるので、この限りではない)

フィルムに梱包されていたり印字が悪いワークは、レーザでの読み取りが安定しない場合がある。現在ではCPUの処理速度の向上から、カメラ式も物流用途で使えるようになっている。そのためキーエンスやコグネックスのカメラ式バーコードリーダを採用している設備も増えてきている。

その他印字にカスレや欠けが多い場合も正確な値を読めなくなる。また印字の色と下地の色が違うと読み取りができないパターンもあるので、サンプルは必ずメーカに確認を取る必要がある。

バーコードリーダとの伝聞のやり取りに関してはこちらをどうぞ

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